時をかける少女
2006/日本/100分
出演:仲里依紗 石田卓也 板倉光隆 原沙知絵 谷村美月 垣内彩未 関戸優希
監督:細田守
偏差値:60.3 レビューを書く
なるほど!そう来たか!の連続 [93点] [参考:1]
※ネタバレを含むレビューです。
テレビでやっていたので見ました。今更見るなんて遅すぎでしたね。いやぁ、なめてましたよ、このアニメ。すごいですね。驚きました。また一人アニメ界にすごい巨匠が生まれたなという感じです。アニメーションとしての絵の美しさ、動きの美しさはもう語るまでもないのですが、きちんと青春ドラマとしても描かれていて、さらにコメディ、ファンタジー、あらゆる要素が見事な形で融合していますな。
なんといってもストーリーが最も素晴らしいです。タイムリープという過去に戻ることができる機能を身につけちゃったごく普通の女子高生の青春物語。1時間の料金で10時間もカラオケを歌ったりと、タイムリープを遊びに使うところが無邪気でよろしい。タイムリープするとごろごろ転がって必ずどこかにゴツンと頭をぶつけるところも可愛い。「私跳べるんだ」っていうこの「跳ぶ」って表現が好きだなあ。
コクられて、それを過去に戻して話をそらそうとしてもやっぱりコクられてしまう。だからなかったことにしちゃうけど、後になって後悔する。恋愛を「そう来たか」という切り口で描いたその斬新さ。恋のタイミング、すれ違いを、切り口ひとつで、こんなにもドラマティックに描けるものなんですね。
で、一番驚いたのが、同じ場面に何度も何度も戻ってくるところ。とはいっても毎回シチュエーションが全然違うし、そのときの主人公の心境も全く違っている。また主人公が同じ場所に戻ってくるたびに「ああ!なるほど!!そういうことか!」とその話術の妙味に感動してしまいます。ある意味これほど伏線が多く、これほど伏線を無駄にしていない、これほど伏線をドラマティックに膨らましているストーリーは他にないんじゃないかと。話が進むにつれて、その話術に「すげえ」とうならされましたね。プリンとかプロレスごっことかカラクリ時計とか、伏線を示すひとつひとつのアイテムが無邪気で可愛いところも好感高し。良い映画を見たなあという実感がふつふつと沸いてきました。
すげえすげえと思っていたら、さらに驚くべき意表を突く展開が待っていて、もうメーターがふりきれるくらい感動しましたね。青年が未来からきた目的が素敵でした。
2009/08/12 04:35 (2009/08/17 08:06修正)
シネマガ管理人
いつか他の誰かを好きになったとしても… [85点] [参考:1]
※ネタバレを含むレビューです。
原田知世ファンとしては「時をかける少女」をアニメ化すると聞いたとき、今さら何でアニメにするんだと疑問を持ったものである。
だが映画を観るとその疑問をすっかり忘れるほどいい作品であった。
それもそのはず、第30回日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞のほか、国内で数々の賞を授賞している作品であった。
未来からきた少年が原因で少女がタイムリープ(過去に戻る)する能力を手に入れるという設定だけはそのままだが、ストーリーは全く別ものとなっている。
どちらかと言えば男っぽい性格の紺野真琴(声:仲里依紗)はいつも間宮千昭(声:石田卓也)と津田功介(声:板倉光隆)と3人で放課後は野球やカラオケをして遊んでいる。
この3人の関係がいつまでも続くと思っていた真琴だが、功介が下級生からコクられた(今風の言い方だなぁ)ことをきっかけに、自分の千昭に対する気持ちに気づいた真琴はそれを素直に認めることができなくて…とストーリーは至って普通の学園ドラマである。
しかしあることからタイムリープする力を手に入れた真琴は、その力により自分の気持ちを打ち消し今までの関係を保とうと奔走するのだが、実はその力には大きな秘密がありその秘密を知った真琴がどうするのか、観ていて切なくなる作品である。
アニメではあるがタイムリープをする時の描写以外には極端な表現は使われておらず、淡い恋心に揺れ動く少女の青春ドラマとなっているのがいい。
真琴にいろいろアドバイスをする叔母の名前は芳山和子(声:原沙知絵)であり、実写版とリンクしているあたりは心憎い演出である。
そしてエンディングで流れる奥華子の歌う「ガーネット」が実にいい歌でこの作品の余韻を高めている。
「あなたと過ごした日々をこの胸に焼き付けよう、思い出さなくても大丈夫なように。
いつか他の誰かを好きになったとしても、あなたはずっと特別で大切で、またこの季節が廻ってく。」by奥華子
何度観てもいい作品であり、何度聴いても胸が痛くなるいい歌である。
2009/02/25 20:06
kira
2010年3月13日(土)、『時をかける少女』が公開され、仲里依紗、中尾明慶、石丸幹二、青木崇高、石橋杏奈、谷口正晃監督が新宿ピカデリーで舞台挨拶を行った。
2010年3月4日(木)、TOKYO FMホールにて、『時をかける少女』の特別試写会が行われ、主題歌のいきものがかり、主演の仲里依紗、メガホンを取った谷口正晃監督が舞台挨拶を行った。
2010年2月27日(土)新宿にて、歴代『時をかける少女』を3作品一挙上映する「時かけ映画祭」が開催され、仲里依紗、谷口正晃監督、大林宣彦監督、原作者の筒井康隆が舞台挨拶を行った。
トラックバックはこちらのアドレスから受付しています。トラックバックについて