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An Affair To Remember
1957/アメリカ/106分
出演:ケーリー・グラント デボラ・カー キャサリン・ネスビット 
監督:レオ・マッケリー

(データベース登録者:ちりつも

偏差値:64.6 レビューを書く

ず~っと、待っていた! [99点]

このレビューはネタバレを含みます

N.Yへ向かう豪華客船で知り合ったプレイボーイのニッキーと歌手のテリー。
二人は次第に惹かれ合い愛し合うようになる。
しかしお互いに婚約者がいる身の彼らはそれぞれの恋を清算してから、半年後にエンパイアステートビルの屋上で再会することを約束する。
だが当日、テリーにある不幸が…。

この作品は同監督の1939年の「邂逅」のリメイク作品です。
「邂逅」ではシャルル・ボワイエとアイリーン・ダンが演じてました。
こちらも良かったのですが、私は「めぐり逢い」に軍配をあげました。
理由は、先に見てしまったこと(!?)
あと、全編に流れる「想い出の恋」のメロディが好きなこと。それから、前半から中盤までの2人の会話が、よりコミカルで楽しかったこと。
それでいて後半は、ラストに向かって涙がとまらないほど大泣きしたメロドラマです。

設定もいいです。豪華客船、正装した美男美女、画家と歌手の恋。再会場所はエンパイアステートビルの屋上等、ロマンチックで優雅な世界ばかりです。

特にロマンチックなシーンは2人が船から降りて、ニッキーの祖母の家へ訪ねるシーン。
そこは俗世間とはかけ離れたような静かな美しい家。
そしてキャサリン・ネスビットがこれまた素敵なおばあ様なのです。
祖母はひとめでテリーを好きになります。
可愛い孫のニッキーのお嫁さんはテリーしかいないと直感します。
祖母に奨められて、2人が家の中にあるチャペルでお祈りするシーンがあります。
ニッキーは真剣に祈るテリーを見つめます。
このシーンが後々重要になります。
また、祖母がたどたどしくピアノを弾くシーンがあります。
昔はきっと上手だったのでしょう。
今は、少し間違えたりしてちょっと見ててハラハラします。
それをテリーが傍らで優しく「思い出の恋」を歌うのです。
このシーンもとてもうっとりします。美しい歌声と切ないメロディ…。
テリーを見つめるニッキーの熱い眼差し。
ニッキーはテリーを本気で愛してしまったようです。

2人は婚約者と別れて、結婚を実らせようとします。
ニッキーはきっぱりと遊びをやめて画家になってテリーを養おうと努力します。
そしてテリーもクラブの歌手をやめます。
約束の日、テリーはニッキーが待っているニューヨークで一番天に近い場所へと向かうのです。
テリーはもう有頂天で地に足がついていません。
上ばかり見てて下を見るのをうっかり忘れていました。
その直後に、テリーには悲しい出来事が・・・。

作品の後半はけなげに生きるテリーと、振られたと思い込むニッキーの苦しみが交差していきます。
ケーリー・グラントはフランス人ぽさという点では「邂逅」のシャルル・ボワイエにはかなわないかもしれませんが、このニッキーの方が私には親近感を覚えました。
テリー役のデボラ・カーも美しく、なおかつ不幸な境遇に落ちても、毅然とした意思を持って自立した女性を演じてて素晴らしいです。

クリスマスの晩、ニッキーはテリーの家で一枚の絵を見つけます。その絵はニッキーがテリーを想って描いた絵です。
あの美しい時が止まったような祖母の家。チャペルで祈るテリー。その肩には亡くなった祖母の真っ白なショールがかかってます。
絵を見たニッキーはようやくテリーの大きな“秘密”に気がつくのです。

ラストのニッキーに言うテリーのセリフはとても涙なしでは聞けないことでしょう。
本当にストーリー&脚本が見事な作品でした。

2008/06/18 21:11 (2008/06/19 22:43修正)

ちりつも

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