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つばさ

Wings
1927/アメリカ/140分
出演:クララ・ボウ チャールズ・ロジャース リチャード・アーレン ジョビナ・ラルストン ゲーリー・クーパー 
監督:ウィリアム・ウェルマン

偏差値:59.0 レビューを書く

優れた映像と、ちょっと?なストーリー [85点] [参考:1]

第一回アカデミー作品賞受賞。

友情、恋愛、別れ、成長、真実の愛。青春要素てんこ盛り。惜しむらくは、ベタな青春ストーリーに引っ張りすぎたのか、意味不明の展開が目立つことで、ストーリー展開上多少の違和感あり。

しかし、ストーリー以外の要素は大変良く出来ています。特に映像面の工夫は作品全体に多々見られます。売り物の航空映像はこの当時の技術を考えるとかなり挑戦的。編隊飛行の俯瞰撮影やドッグファイトを追う映像などきちんと迫力を伝えてくれます。陸戦も大スケールで迫真の映像ですが、迫力だけでなく兵士の死を感傷的に伝える場面もうまく撮れていました。

その他、細かな撮影の工夫も多々あり、パリのクラブでテーブルを挟む男女たちの間をカメラが抜けて移動していく映像などおもしろい。カットつなぎのテンポも良く、演劇的静止映像からスタートしたカメラワークが、1920 年代後半にはここまで技術発展したかという驚きを感じました。

クララ・ボウの代表作ですが出演シーンは多少偏りがあり、中盤パリで大騒ぎを起こした後はラストシーンになるまで登場しません。それでもクララ・ボウは魅力十分。コメディチックなイメージのある彼女ですが、実は半分以上のシーンで泣いているんですね。ジャックへの想い届かず泣くシーン、パリのクラブですれ違って泣くシーン、最期に想いが通じて泣くシーン。彼女の涙を追ううちにこちらの涙腺が緩んでしまうこともしばしば。しかし、こんなに泣いていても実に爽やかで明るい印象を残すクララ・ボウの演技と存在感はやはり素晴らしい。これ以降目立った作品を残していないのが返す返す残念です。

2008/10/26 12:02

frost

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