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2008/日本/東映=ギャガ/145分
出演:堤真一 堺雅人 尾野真千子 高嶋政宏 山崎努 
監督:原田眞人

偏差値:51.9 レビューを書く 解説

記者魂を見せてみよ [81点] [参考:1]

この映画が最初紹介されたときは、日航機墜落事故についての映画という感じで取り上げられていたと思うのですが、実際中身はブンヤ魂について描いた映画になってました。こういう書き方をすると不謹慎かもしれませんが、日航機墜落という事故を食材にして、それをどう料理していくかが本作の見どころになっていて、実際の事件とフィクションを見事にブレンドしてドラマチックなストーリーに仕立て上げていました。映画で描かれる新聞社は、てっきり実際にある新聞社かと思ったのですが、これがまったくの架空。すっかり本物と騙されてしまいました。

堂々と「社会派」と謳えるシリアスな内容になっています。とにかく登場人物が皆怒る怒る。怒りすぎだろというくらいやたらと怒りますね。全員言葉遣いが悪いし、セリフの半分は怒ってるんじゃないかってくらい、ここまで登場人物が沢山入り乱れて口喧嘩している日本映画は他にないかも。最近の日本映画はほのぼの系が流行っていてゆるーい内容の映画が多いですが、これはかなりおかたい映画になっています。

話を戻しますと、やっぱりこの映画はジャーナリストの生き様、仕事に人生をかけた人々を描いた映画だと思うので、僕も他人事のようには見られなかったわけです。これは新聞社の中をまるで戦場のように描いていますが、こんな職場普通ねえだろってくらい劇的に描かれてて、ここで好き嫌いは別れそうですね。新聞社が他紙と激しく火花をぶつけあうのはわかりますけど、新聞社内部でも抗争があるところなど凄まじい内容ですね。というか、オールバックにポマードべっとり、お前はヤクザかと思いましたよ。編集局と営業が喧嘩したり、部下が上司に楯突いたり、あまりにもヘビーな職場なので、「うひゃー、とてもこんなとこじゃ働けないよ」とびびったものです。実際の新聞社はもっとほのぼのしてるはずでしょうから、そこは完全にフィクションに徹したんでしょうね。

現在のロック・クライミングのエピソードと過去のエピソードを交錯させる形で描いて行く見せ方もうまく、新聞社ならではの締め切りに間に合うか、他紙を出し抜けるかといったギリギリの駆け引きも描かれていて、ストーリーもしっかりまとまっています。メディアの在り方とは何か、そしてその意義とは。そんなことも真面目に考えさせる良作です。

2009/07/07 15:54 (2009/08/10 07:39修正)

シネマガ管理人

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