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真昼の決闘

High Noon
1952/アメリカ/84分
出演:ゲイリー・クーパー グレイス・ケリー トーマス・ミッチェル ロイド・ブリッジス ロン・チェイニーJr. リー・ヴァン・クリーフ 
監督:フレッド・ジンネマン
製作:スタンリー・クレイマー
原作:ジョン・W・カニンガム
脚本:カール・フォアマン
撮影:フロイド・クロスビー
作詞:ネッド・ワシントン
音楽:ディミトリ・ティオムキン

(データベース登録者:frost

偏差値:63.0 レビューを書く

ゲーリー・クーパーが渋い。 [100点] [参考:1]

※ネタバレを含むレビューです。
まだ私が十代の時、昼間のTVで放映していて何気なく見ていたのですが、その作品の面白さとゲーリー・クーパーの保安官に魅了されました。

物語は、小さな西部の町の保安官が任期を終えて、結婚式を挙げていたところへ昔、彼が捕まえた無法者が仲間を連れて町に舞い戻ってくる。
自分を捕まえた保安官を殺しに・・・。
保安官は町の人々に助けを求めるが、皆、無法者が怖くて誰一人、保安官に協力しようとはしない。
保安官は、たった一人で無法者たちと真昼に決闘をする・・。
ヒーローが悪人とドンパチ派手にやりあう通常の西部劇とは、ちょっと違う異色な作品です。

この保安官を演じたゲーリー・クーパーの町の人々から孤立した演技は最高でした。

真昼の決闘が刻々と迫ってくる。

仲間だと思っていた人々は皆、冷たく妻にも逃げられる始末。(ちなみに新妻役は後のモナコ王妃になったグレース・ケリー。)
苦渋に満ちたクーパーの表情は、フィクションだとわかってても、つらく気の毒。
でも、ここで逃げるわけにはいかない。
顔を上げて、無法者4人。クーパーは一人。
孤独に戦うクーパーに、私はシビレてしまいました。

この時、クーパーは50歳くらい。
これぞ“枯れた中年男の渋さがにじみでたカッコよさ”だと思ったものです。

その後、私がゲーリー・クーパーが、ものすごい有名な男優で、アメリカ屈指の二枚目スターだと知って、たくさん彼が出演している映画を見ました。

中でも、お気に入りは「モロッコ」「群衆」「オペラ・ハット」「昼下がりの情事」等。

相手の女優も超豪華で、マレーネ・ディートリッヒやオードリー・ヘップパーン、ジーン・アーサー等、きれいで人気がある女優さんともたくさん共演しています。

まだまだクーパーの映画、未見が一杯あります。
それほど膨大な主演作がある俳優さんです。
クーパーは、「モロッコ」のように若いときの端正な顔立ちも最高ですが、やはり「真昼の決闘」のように苦虫を噛み潰したような表情、独特の色気が漂う中年以降のクーパーがとっても素敵です。

また、西部劇で私が見た中で1,2を争う好きな作品になりました。

2010/11/11 18:50

ちりつも

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見たこともないヒーロー [90点] [参考:1]

西部劇はヒーローもの。ヒーローには余裕ってものがあるもんです。悪と対峙するのに全く余裕のなくなってしまっているヒーローっていないじゃないですか。その余裕が凡人には適わないから、観てる方はすごいなあとも思い、スカッともするわけですです。ところが主役ゲイリー・クーパー、いっぱいいっぱい。追い詰められたまなざしで住民たちに必死に支援を求めますが誰も味方してくれません。それでも保安官の誇りだけにすがりついて悪党と戦おうとします。決闘の場に向かって歩き出すゲイリー・クーパーの後姿をカメラが捉えます。そこからカメラが後方上に引いて引いて大通りの様子がカメラに収まったとき、完全に一人ぼっち。人っ子ひとり見あたらない、完璧な孤立無援を映し出すスクリーンに観ているこちらも思わず「ああっ」と絶望のため息を漏らしてしまうのです。素晴らしい映画的快感。あまりに弱いヒーローぶりにハワード・ホークスが「アメリカの恥だ」と激怒。本物の西部劇を見せてやると作ったのが『リオ・ブラボー』、なのは有名な話。

2008/06/07 10:23

frost

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