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2008/日本/東宝/136分
出演:佐藤浩市 妻夫木聡 深津絵里 綾瀬はるか 西田敏行 
監督:三谷幸喜

偏差値:61.6 レビューを書く 解説

映画ファンならこの良さがわかるはず [90点] [参考:2]

三谷幸喜の監督作品。公開当時やたらと宣伝してて、かなり話題になったように記憶しているが、それだけのことはある作品。ギャハハと大笑いしながら見られる極上のコメディ映画。まあ、三谷監督のひとりよがり的な要素もあるけれど、三谷監督の場合、そういうのびのびとした感じが心地好い。僕も三谷監督の遊びに参加して楽しませてもらったような気分。同じ趣味を持つ人、すなわち映画が大好きという人なら、この映画はきっと心に響く。

ストーリーは、エキストラくらいしかやる役がない売れない俳優が、映画の撮影だと騙されて殺し屋役をやらされるというもの。いわゆるシチュエーション・コメディという奴だ。暗黒街の顔役たちはこの役者を本物の殺し屋と信じ込み、主人公もすっかりギャングの一味を俳優と思い込んでいる。このシチュエーションが面白すぎ。このシチュエーションだけでギャグを無限に生みだしている。

主人公が常に自分をかっこよく見せようとするところも面白い。かなり誇張されたキャラ。ある意味これが本当の役者馬鹿。ピーター・ジャクソンの「キング・コング」に出ていたアクション俳優と同じ役柄である。こういう誇張表現を堂々と楽しむのが三谷流だと思った。

主人公は何もかも映画の撮影と信じ込んでいるので、本物の銃も映画の小道具だと思っているから全然怖くない。とにかく強気に強気にギャングたちと会話する様が、おかしくて笑うのと同時にハラハラさせられた。波止場で銃の取り引きをするシーンが最高。「どこから(カメラが)俺を狙ってるんだ」というセリフが、相手には「どこから(銃で)俺を狙ってるんだ」というセリフに解釈されてしまう、まったく噛み合うはずのない会話が見事に噛み合ってしまう面白さ。

波止場や街のセットなども素晴らしい。いったいいつの時代、どこの国だよという感じ。映画の中にひとつの世界の存在を感じさせる。

堂々とその誇張表現、臭さを楽しんでいる映画なので、主人公が自分の映像を見て涙するシーンも、なかなか胸がキュンとくる。すっかり三谷の世界にのせられた。

2009/10/14 22:50

シネマガ管理人

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