変態村
Calvaire
2004/ベルギー・フランス・ルクセンブルグ/94分
出演:ローラン・リュカ ジャッキー・ベロワイエ フィリップ・ナオン ジャン・リュック・クシャール
監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
製作:ミカエル・ジェンティル/エディ・ジェラドン=リュイックス/ヴァンサン・タヴィエ
脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ/ロマン・プロタ
撮影:ブノワ・デビエ
編集:サビーヌ・ユボー
音楽:ヴァンサン・カエイ
(データベース登録者:frost)
偏差値:51.0 レビューを書く
狂気を欲張りすぎ [65点] [参考:1]
ネット上でいくつかレビューを見かけて興味が湧き、観てみました。オープニングタイトルはいかにもの真っ赤なバックに、低い鼻歌。不気味さに身構えると、シーンが開いてごく普通の男が身づくろいしながら鼻歌を歌ってる。男は主人公の歌手マルクで、この平凡そうな男の身にこの後一体どんなことが起こるんだろうと想像力をかきたててくれて、このオープニングは、ちょっと”おっ”と思いました。
妄想に駆られた狂人に拉致されるストーリーは、キング原作の『ミザリー』なんかでもあったテーマですね。主人公は命がけで逃げ出そうとするが、どうあがいても狂人の妄想から逃げ出せない。すぐそこには日常世界があるのに、自分だけがたった一人の狂った悪夢に捕らえられもがき続けている。そこにこの手の映画の怖さ・面白さがあると思います。
でも、この作品はその狂気をおっぴろげすぎ。あの人もこの人もじゃ主人公が巻き込まれる悪夢も拡散しちゃって、なんか逆に笑えてきちゃうんですよね。狂気を表現するエピソードも無駄なものが多い。そういう観点では、銃撃戦の前のシーンまででこの映画は終わっちゃってます。狂気の扱いを欲張りすぎたという感じでしょうか。
映像はいいですよ。陰気で不気味な感じが良く出てて、カメラワークも結構凝ってる。虐げられたマルクのぼろぼろの姿もよく造形したって感じですね。シナリオがよければもっとすごいホラーになった一本でした。
2008/05/29 12:26
frost
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