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シューテム・アップ

Shoot 'em Up
2007/アメリカ/ムービーアイ/86分
出演:クライヴ・オーウェン ポール・ジアマッティ モニカ・ベルッチ 
監督:マイケル・デイヴィス

偏差値:57.8 レビューを書く 読者レビュー(2)

クール!スタイリッシュ!セクシー!
銃弾2万5千発のエクスタシー!

撃って撃って撃ちまくる、映画史上空前(当社比)の大銃撃戦! 弾丸がスクリーンをブチ破り、硝煙が客席にほとばしる、〈スーパー〉を超えた、〈エクストリーム〉ガン・アクション上陸!
NY暗黒街。一匹狼のガンマン、スミスは、妊婦から死に際に託されたベイビーを守るため、昔なじみの娼婦ドンナと共にハーツ率いるマフィアに決死の戦いを挑む。しかしその一味の背後には、さらなる巨大組織の驚くべき陰謀が隠されていたのだった!なぜベイビーは狙われるのか?ベイビーに隠された秘密とは一体…。思わぬ成り行きで“子連れ狼”となったスミスとドンナは、群がる敵を蹴散らし、ガン&ベイビー抱えてアメリカ横断クライム・ストリートを駆け抜ける!

ブラック・レザーに身を固め、ネズミをペットに家庭菜園でニンジン栽培、というちょっとワケありのクールなガンマン、スミスを演じるのは『トゥモロー・ワールド』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』のクライヴ・オーウェン。あらゆる銃火器に通じたプロならではのガンさばき、カーチェイスで見せるド派手なドライヴィング・テクニック、そしてヘリコプターからのスカイ・ダイヴィングという、連続するアクションを体当たりで演じ、スタイリッシュな魅力が光るニュー・ヒーローを快演している。              
娼婦ドンナを演じるのは、『マトリックス』シリーズ、『ブラザーズ・グリム』のモニカ・ベルッチ。“イタリアの宝石”と讃えられた美貌は今も変わらず。華やかでセクシーな存在感は、銃声と爆発に満ちたこの映画の世界の中で、艶やかな大輪の花として一際美しく輝いている。マシンガン乱射&クライヴとの白熱のセックス・シーンも見所の一つだ。
マフィアのボス、ハーツを演じるのは旬の性格俳優、『サイドウェイ』『シンデレラマン』のポール・ジアマッティ。撃ち合い修羅場のド真ん中でもケータイで妻への定期連絡を欠かさない男。ユーモラスでヴァイオレントな個性が立った、イカれた悪党を活き活きと演じている。

この映画でアメリカ版“ジョン・ウー・アクション”を実現させた張本人は、新鋭のマイケル・デイヴィス監督。ハリウッドきっての“アクション映画オタク”を自認するデイヴィスは、制作に先駆け、鉛筆描きのアクション・シーンのストーリーボードを自力で簡易アニメ化。その手描きアニメを見たスタジオとプロデューサーは制作を即決。90年代、全世界を席巻した香港アクション。デイヴィス監督のそのジャンルへのオマージュともいえる、嵐のような銃撃戦と意表突くアクションの数々は、すれっからしのファンたちにも、フレッシュな驚きと感動をもって迎えられるだろう。撮影を担当したのは、『狼/男たちの挽歌・最終章』の名手、ピーター・パウ。パウの参加が、この映画に香港アクションの遺伝子をより強く受け継がせたことは疑いない。マカロニ・ウエスタン風のエレキ・ギターを響かせる音楽は、元タンジェリン・ドリームのメンバー、ポール・ハスリンガーが担当。

『シューテム・アップ』は2万5千発の銃弾をブチかます、かつてないガン・バトルの興奮で見る者を圧倒し、ヒネリの効いたキャラクターたちの魅力を満喫させる、ニンジン、パキッと痛快なエンタテインメント大作だ!
殺し文句は、弾丸んねー

●STORY
冬のNY、深夜—。ホームレスのスミス(クライヴ・オーウェン)は、人気のない裏道で、ひとりニンジンをかじりながら所在なく座り込んでいた。その目の前を大きなお腹を抱えた妊婦(ラモーナ・プリングル)が、必死の形相で通り過ぎた。いかにもな風体のヤクザが、彼女の後を追うのが気にかかり、スミスもその後を追って暗い廃墟の中に駆け込んだ。男がまさに妊婦めがけてナイフをかざしたのを目にしたスミスは、男の口にニンジンを突き刺して、とりあえず彼女を助けた。がしかし、男の仲間たちが続々と廃墟の中に乱入、ムチャクチャな勢いで銃を乱射し始めた。スミスは拾い上げた銃で応戦、妊婦を抱えて廃墟の中を逃げ回る。そのさなか、彼女はショックで産気づいてしまう。なだめ励まし、スミスがやっとこさ取り上げたベイビー(ちん○んあり)と共に、さらに逃走を続ける途中、流れ弾を額にくらった母親は絶命。その亡骸を後に、屋上までたどり着いたスミスは、ベイビー抱えて隣のビルへとジャンプ! 闇の中に消えたスミスを目で追って、男たちのボス、ハーツ(ポール・ジアマッティ)は、苦虫を噛み潰した—。

逃げるスミスにさらに謎の追っ手が迫る。公衆トイレでの“ローン・マン”(グレッグ・ブライク)の襲撃をかわし、スミスは昔馴染みの娼婦ドンナ(モニカ・ベルッチ)にベイビーを預けようと、彼女が働く売春宿を訪れる。警察に通報することを勧めるドンナだが、内通者ばかりの警察も信用できない。何故ベイビーは狙われているのか? “オリバー・ツイスト”にちなんでオリバーと名付け、質屋で防弾ベストを買い与え、三人はスミスが潜む廃墟に身を隠した。
一方、ハーツは元FBIのプロファイラーで人の考えや行動が読みとれるという特異能力を持つ。その研ぎ澄ませた勘でスミスの居場所を突き止め、50人のヤクザたちと共にスミスの住処を急襲した。しかしスミスのガンさばきに圧倒され、またしても逃げられてしまう。ただのホームレスとは思えぬスミスの正体とはいったい?

ヘビメタ・ミュージックを聴くと笑顔を見せるオリバー。胎教にヘビメタを聴いていたと睨んだスミスとドンナは、ヘビメタクラブ、“シン・ビン”の2階に奇怪なラボを発見する。そこには一人の男の大量の精子と治療用の骨髄血が保管されていた。骨髄移植は適合者が少ないが、同じDNAを持ったドナーがいれば、成功する確率は格段に上がる—。つまりオリバーは骨髄移植のために生み出された赤ん坊だったのだ。スミスは有力紙やTV局にその“妊娠工場”の存在を通報したがニュースは流れない。その報道規制の背後には、ハーツ一味を操る銃の大手製造メーカー、ハマーソン社のハマーソン(スティーブン・マクハッティ)と、次期大統領候補ラトリッジ上院議員(ダニエル・ピロン)が暗躍していたのだった。ラボの骨髄血は、一体誰のために用意されていたのか?

スミスは、ドンナとオリバーを大陸横断バスに乗せ、ラトリッジ直属のエージェントだった“ローン・マン”と連絡を取り、最終対決に臨むため、悪党たちが待ち受ける空港の大統領候補者専用機へとひとり赴く—。勝敗の行方は? そして謎に満ちたスミスの過去とは一体?

5/31(土) 渋谷東急109シネマズ×ユナイテッド・シネマほか全国ロードショー