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拳銃無頼帖 抜き射ちの竜

1960/日本/86分
出演:赤木圭一郎 浅丘ルリ子 宍戸錠 西村晃 
監督:野口博志
原作:城戸礼
脚本:山崎巌
撮影:永塚一栄
美術:大鶴泰弘
音楽:山本直純

(データベース登録者:frost

偏差値:55.0 レビューを書く

”かっこよさ”にしびれる日活アクションの魅力 [75点]

抗争中の暴力団組長宮地と”抜き射ちの竜”こと剣崎竜二(赤木圭一郎)が、拳銃を握って夜の停車場で向き合っている。この冒頭の対決シーンがかなり良くて、余裕の宮地組長&苦しげな竜二の表情のカットバックと背景の停車場の風情がばっちり記憶に残る。

”へえ、ヨーロッパ映画にも全然負けてないじゃないの” と思わず感心。ストーリーは単純だし、台詞が棒読みに聞こえたり、今の時代から見て映画全体にぎこちなさを感じるが、登場人物の魅力(というかかっこよさ)がそんなものをカバーしてお釣りが来る。

特に、宍戸錠が演じる”コルトの銀”はすこぶるかっこいい。悪の黒幕に仕えるクールな殺し屋でありながら、男気があり自分の流儀は曲げない。顔全体がつりあがるような独特の笑い方をするが、ソフト帽にロングコートという姿とその笑い顔がめちゃくちゃ良く似合う。キザな台詞をなんのてらいもなく吐くあたりは、なんか見ていてゾクゾクするものを感じてしまう。

こういう絵に描いたようなキャラクターを、役者が臆面もなく演じる単純明快さが日活ヒーローアクションの魅力の一つなんだろうなぁ。宍戸錠は今回の作品ですっかりお気に入りになってしまった。

宍戸錠の話しばかりになってしまったが、”日活第三の男”赤木圭一郎も当然のごとくすばらしくかっこいい。ちなみに、この作品の公開は1960年の2月14日。ちょうど一年後の1961年2月14日に赤木圭一郎はゴーカートの事故で亡くなってしまった。生きていればもっともっとかっこいい作品をたくさん残しただろうに、残念。

2008/05/06 09:42

frost

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