2011/日本/109分
出演:瑛太 椎名桔平 丸山隆平 阿部力 宇梶剛士 平山祐介 松本実 要潤 本仮屋ユイカ 中原丈雄 吉田鋼太郎 深田恭子 中井貴一
監督:羽住英一郎
原作:望月三起也
製作:久松猛朗
脚本:深沢正樹
撮影:江崎朋生
偏差値:52.1 レビューを書く
悪は悪をもって制する [70点]
このレビューはネタバレを含みます
望月三起也の原作によるアクションマンガを映画化したもので、大まかな設定は原作から拝借していますが、劇中で起きる事件は現代ならではのオリジナルなものになっています。
毒は毒を持って制し、悪は悪を持って制するとの発想から警視庁が極秘に集めた7人の重犯罪者で組織する通称『ワイルド7』が凶悪犯を非合法に退治(逮捕じゃなくて退治)していくうちに思わぬ強敵と戦うことになります。
オープニングのチーム『ワイルド7』活躍はなかなか迫力があって、つかみはバッチリでド派手なアクション映画好きとしてはたまりませんでした。
全編をこの勢いで突っ走ってくれるのかと期待が膨らみましたが、次第に前後のつじつまが合わない場面重視の作品になって行ったのが残念でした。
それぞれの場面場面はなかなか見せる描き方になっているので予告編ではテンポのいいアクション物に見えましたが、それが繋がって1つの作品になると同じことの繰り返しで冗長に感じました。
どうせならアクション映画に徹すればよかったのですが、ベタな恋愛物とか生き別れた父娘の愛情物も織り込ん感動的に仕上げようとした気持ちはわからないではないものの、全体の流れの中では唐突で無理矢理な感じがしましたね。
また映画の始まりでは『ワイルド7』は超法規的な組織のため、彼らの存在を公にできない警視庁がその痕跡を消していて、それに気づいた記者が徐々に核心に迫って行くような進み方をしていました。
ところが中盤になると警視庁が存在自体を否定しているはずの『ワイルド7』の面々が大勢の一般人の前でバイクをぶっ飛ばして犯人を追いかっけたり、銃をバンバン撃ったりと、まるで当初の設定はなかったかのように活動しだしたので、これじゃ集団催眠にでもかけない限り隠蔽のしようがないなと思ってしまいましたね。
そして最大の見せ場となる巨悪との対決のため、ボスの元に主人公をたどり着かせようとした仲間が一人また一人と散っていく感動的なはずの場面は、各人が同じようなことを繰り返すためダラダラした印象が先に立ってしまいました。
またその場面を盛り上げるためか大袈裟なBGMがやたら大きな音量で延々と繰り返されるのがうるさくて、結局ストーリーに整合性はないし場面とBGMは上手くかみ合っていないし、映画としてはちょっとどうなのかなと思いながら終わりをむかえました。
でも隣りにいた女の子2人は『面白かったね、仮面ライダーみたいだったね。』と言っていたので、オジサン感覚ではついていけない今風の作品だったのかも知れませんね。(心の中で『ワイルド7』は変身しないよと小さくつぶやきましたが。)
あと、『ワイルド7』と言えば大型バイクに革ジャン、メットにグラサンがトレードマークなのに、グラサンが今風のパイザーになっていたのがずっと気になっていたのと、主人公の飛葉を演じた瑛太の髪型がつぶやきシローみたいだな、といらぬ雑念を持ったのも本来の面白さを半減させた理由だったのかもと反省しています。
映画は無心で観るべしですね(笑)
2012/04/09 14:54