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オバアは喜劇の女王 〜仲田幸子 沖縄芝居に生きる〜

2011/日本
出演:仲田幸子 仲田龍太郎 仲田まさえ 前川守賢 宮本亜門 名嘉睦稔 ゴリ 
監督:出馬康成

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<イントロダクション>
戦後、焼け野原の沖縄で、絶望の淵にいた人々を、笑いで救った女性がいた。60年間休むことなく、観客の苦しみも、自らの悲しみも、全部吹き飛ばし、大爆笑を集め、生きる活力を振りまき続ける、沖縄最強のオバア伝説であり、沖縄芝居の貴重な記録であるドキュメンタリー映画が、いよいよ日本本土に上陸!

◇沖縄で大ヒット、ロングラン上映中!
◇9月25日に横浜で行われた映画上映と仲田幸子率いる「でいご座」芝居公演では、満席立ち見となり、昼・夜2回公演で約1,000人の観客を笑いの渦に!
◇12月17日、いよいよ東京で公開!

全盛期は40以上もの劇団があったと言われる沖縄芝居(=ウチナー芝居 沖縄方言で演じる芝居)。若者の方言離れやテレビの普及により、多くの劇団が解散へと追い込まれていった中で、家族(夫、娘、孫)と共に「でいご座」を存続させている喜劇の女王仲田幸子。今年、芸歴64年を迎えた幸子は12歳の時米軍の収容所に慰問に訪れた沖縄芝居に魅せられ、15歳より芝居一筋駆け抜けてきた。彼女の舞台に対する情熱、また沖縄方言にこだわる彼女の姿勢は失われつつある沖縄の文化の存続に他ならない。戦後の絶望の淵から人々を笑いで救い、共に傷を癒しながら歩んできた彼女の記録は沖縄芸能の貴重な資料でもある。折しも大震災に見舞われ、元気をなくした日本に、戦後の沖縄のどん底から這い上がってきた沖縄の最強のオバア伝説を今だからこそ届けたい。

<映画の内容>

舞台の稽古風景。ちょこまかと動き回り厳しい表情で激を飛ばす芸歴64年の仲田幸子。御年78歳。彼女からウチナーグチ(沖縄の方言)が容赦なく劇団員に浴びせられる。
赤ん坊の時に母を亡くし、母の顔を知らずに育つ。幼少時代の沖縄戦体験。乗るはずだった「対馬丸」にお金がなかったため乗船できず九死に一生を得るがたくさんの友人を失った。そして終戦、米軍の捕虜となる。その時に見た芝居の美しさに惹かれ芝居一筋の人生が始まった。
そして昭和40年代。野外舞台公演に集まった観客2万人。一ヶ月に40公演。4日間での最多公演数は16舞台。どこへ言っても大入り満員の大盛況、喜劇の女王仲田幸子が誕生していた。
衰退の一途をたどる沖縄芝居の中でなぜ「でいご座 仲田幸子」の魅力は失せないのか?でいご座の活動を中心に本人、家族、仕事仲間等のインタビューも交え喜劇の女王仲田幸子の凛とした生き様を紐解く。

宮本亜門(演出家)
何もない焼け野原になった沖縄を生き延びきて、心の痛みがあるからこそ他人の気持ちが分かる人。
幸子さんの笑いには根源的な強さがある。
名嘉睦稔(版画家)
悲劇の真只中でも面白さをかもし出す仲田幸子の身体性。その偉大さ。悲しみを連れながらも面白いわけです。
ゴリ(ガレッジセール)
僕の小さい頃、日常にTVがあるようにTVをつけたら仲田幸子がいた。沖縄のおじいやおばあをあそこまで笑わせられる人は今も昔もいない。

12月17日より ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開