ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


テンペスト

The Tempest
2010/アメリカ/110分
出演:ヘレン・ミレン リーヴ・カーニー アラン・カミング トム・コンティ クリス・クーパー フェリシティ・ジョーンズ ベン・ウィショー アルフレッド・モリナ 
監督:ジュリー・テイモア

(データベース登録者:ソーヤ

偏差値:56.0 レビューを書く

なんと演劇的な・・・ [70点]

※ネタバレを含むレビューです。
監督は、あのブロードウェイ・ミュージカル「ライオンキング」や小澤征爾指揮のオペラ「エディプス王」など話題の舞台を次々と手がけてきた女流演出家ジュリー・テイモア。
そして原作はいわずとしれたシェイクスピア最後の名戯曲。テイモアは、この主人公を原作の<父親>からヘレン・ミレン演ずる<母親>へと置き換えた。
たしかにこの設定の方が、娘の将来を案じ愛情を注ぐという点において一本スジが通る。しかも、女性だからこそ、自分を陥れた悪人たちをすべて赦し復讐を放棄するというラストがすんなり納得され活きてくる。社会的地位や名誉にがんじがらめにされた男たちの思考論理ではこうはいかないだろうから。
しかし、この大胆な置き換え、欧米のメジャーな演劇の舞台にのせるにはかなり抵抗が大きいのではないか(それだけシェイクスピアは一大<権威>ということ)。映画だからこそ、すんなりと実現できたのでは?と推察してしまう。
そのせいかどうか知らないが、同作は極めて「演劇的」だ。大胆な衣装も(とっっっても美しい!)、朗々たる長セリフも、役者たちの大仰な演技も。
これは「映画」として観てはならない。上質な「演劇」として受け止め、欧米の一流の役者たちのアンサンブルを愉しむのが正解なのだと思った次第・・・

2011/06/15 23:05

ソーヤ

参考になりましたか?

トラックバックはこちらのアドレスから受付しています。トラックバックについて