赤い靴
The Red Shoes
1948/イギリス/株式会社デイライト、コミュニティシネマセンター/136分
出演:モイラ・シアラー アントン・ウォルブルック マリウス・ゴーリング ロバート・ヘルプマン レオニード・マシーン
製作・脚本・監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
音楽:ブライアン・イースデル
指揮:サー・トーマス・ビーチャム
演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
撮影:ジャック・カーディフ
編集:レジナルド・ミルス
美術監督:ハイン・ヘックロス
録音:ゴードン・K・マッカラム、チャールズ・プルトン
テクニカラー撮影:ジョージ・ガン、E・ホーグ
振付:ロバート・ヘルプマン、レオニード・マシーン
http://www.red-shoes.jpn.com
『赤い靴 デジタルリマスター・エディション』
蘇る、バレエ映画の金字塔!
新たに制作されたデジタルリマスター・エディションがいよいよ待望の日本上陸!
1950年3月1日、有楽座で1本の洋画が日本初公開された。アンデルセン童話「赤い靴」をベースに綴られる、バレエ・ダンサーの悲劇。観たこともない映像世界は観客を魅了し、瞬く間に話題となった。映画は大ヒットし、56日間で33万人を動員。日本には空前のクラシックバレエ・ブームが起こり、街にはバレエ教室が次々と出現。靴業界では、“赤い靴”が流行した。
不朽の傑作『赤い靴』は、イギリスの巨匠マイケル・パウエル&エミリック・プレスバーガーの代表作であり、バレエ界、美術界、音楽界からも最高のスタッフが結集した奇跡的作品。赤い靴の運命を背負って踊り続けるヒロインに、サドラーズ・ウェルズ・バレエ団(現ロイヤル・バレエ団)のプリマ、モイラ・シアラー。ロバート・ヘルプマン、レオニード・マシーンが振付し、ダンサー役で踊りも披露する。撮影は、テクニカラーの父ジャック・カーディフ。音楽のブライアン・イースディルは、アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞をダブル受賞。画家(ハイン・ヘックロス)を美術監督に起用したのも画期的な試みだった。中盤に登場する約17分のバレエ演目「赤い靴」のシーンは、映画芸術に革命を与え、そのセンセーショナルな衝撃は、今観ても全く色褪せることはない。
“マーティン・スコセッシ監修で蘇る名作!
スティーヴン・スピルバーグ。フランシス・フォード・コッポラ。『赤い靴』へのリスペクトを公言している映画監督は多いが、その中のひとり、スコセッシが同作のオリジナル・ネガ修復作業に着手。彼の監修のもと、2年の歳月をかけて完成された<デジタルリマスター版>は、2009年カンヌ国際映画祭で世界初公開された。いよいよ待望の日本上陸である。
バレエ芸術と映画芸術の見事な融合
そして、イギリスにしか成しえなかった最高のスタッフの結集
当時、世界にその輝きを放っていた英国バレエ界が総力を結集しただけに、本作では、目を見張るばかりの華麗なバレエが存分に堪能できる。ヒロインには新鋭モイラ・シアラーを抜擢。ロバート・ヘルプマン、そしてニジンスキーの後継者と称されたレオニード・マシーンの英国バレエ界2大ダンサーが特別出演。バレエシーン全体をヘルプマンが振付し、靴屋のパートはマシーンが自ら振付して踊った。また、プリマドンナのボロンスカヤ役にはフランスからリュドミラ・チェリーナを迎えるというあまりにも贅沢な配役が実現した。
三次元の空間芸術であるバレエを二次元の映像で表現するというパウエル&プレスバーガーの挑戦に応えたのは、撮影監督ジャック・カーディフ。彼は、飛躍的に進歩したテクニカラー技術を駆使し、カメラの速度、照明器具は勿論美術装置やメイクまで徹底的にこだわり、それまでに類のないセンセーショナルで驚異的な映像世界を展開させた。ダンサーが次々に移り変わる超幻想的な風景の中を舞うシーンには、ジョージ・ガンが考案して以来ガン・ショット・プロセスとして有名になった合成法が用いられ、テクニカラーの特殊技術の面に新生命を吹き込んだ。
ブライアン・イースデルの音楽を指揮したのは、サー・トーマス・ビーチャム。彼が率いるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏も素晴らしい本作は、映画芸術だけでなく、バレエ、美術、音楽といったあらゆる分野における“本物の芸術”を堪能できる。これは、英国芸術界の最高のスタッフが結集したからこそ成しえた奇跡だった。
イギリス映画の奇跡の1本は、アメリカからも最大の賞賛を受けた。全米各地で公開され、記録的な興行成績を収める。特に、ニューヨークの映画館ビジョー・シネマは3年以上も続映し、これがロングラン興行のはしりになった。
バレエ・ダンサーの悲劇。
愛を選ぶのか、踊り続けることを選ぶのか。
世界一のプリマを夢見るヴィクトリアは、バレエ団主宰者レルモントフに見出され新作「赤い靴」の主役に抜擢。公演は成功し、作曲家クラスターとの恋も実らせ結婚を誓う。しかし、彼女に踊り続けることだけを強いるレルモントフ。彼女は苦しみ、そして悲しい結末へ・・・。バレエ・ダンサーの2つに引き裂かれる心を描きつつ、芸術の神に愛された者が背負う宿命について、鋭く語りかけてくる。
2011年7月2日(土) ユーロスペースほか全国順次公開