転々

終わってほしくない旅 [95点] [参考:2]

※ネタバレを含むレビューです。
オダギリジョーが演じる大学8年生の竹村と三浦友和が演じる借金取りの福原がひたすら東京を転々と歩く作品です。

ある事情から妻を殺害した借金取りの福原が借金の返せない竹村を自首するまで連れ回しますが、三木聡監督お得意の小ネタも満載で、大笑いとまでは行きませんが終始クスクス笑える作品です。

ただ今までの三木監督の「亀は意外と速く泳ぐ」や「図鑑に載っていない虫」と違っていて観ていてとても切なくなる作品でした。

それは途中から竹村が自分、福原が10数年前に他界した親父と重なってしまい、これが映画であることを忘れて、事情はどうあれ、一緒にいられる２人が羨ましくて仕方がなかったからです。

最後に福原が自首するだろうことは分かってはいましたが、僕の中ではそれが親父の他界と結びついてしまい、途中からこのまま映画が終わらずにいつまでも２人で転々とし続けてほしいと願ってしまいました。

２人の別れは突然やってきます。このまま逃げ続けることを考える竹村ですが、竹村が目を放した隙に福原は警察署に歩いていきます。

それを見送りながら竹村が大声で別れの言葉を言うこともなく、一言だけ「なんだよ・・・」とつぶやいて映画が終わるのが秀逸です。

客観的に観られなかった作品なので、映画の観方としては失格かもしれませんが、僕にとっては2007年のベスト１の作品です。

2008/06/29 06:31 (2009/11/07 06:34修正)

kira

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