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ツーリスト

The Tourist
2010/アメリカ/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/103分
出演:アンジェリーナ・ジョリー ジョニー・デップ ポール・ベタニー ティモシー・ダルトン スティーヴン・バーコフ ルーファス・シーウェル 
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
http://www.tourist-movie.jp

偏差値:53.0 レビューを書く 読者レビュー(1)

アンジェリーナ・ジョリー&ジョニー・デップ奇跡の共演!
極上のミステリーがここに誕生!!
謎の女と彼女に翻弄されるツーリスト、そこに仕組まれた罠とは?
 アカデミー賞主演男優賞ノミネート3 回、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)を世界的大ヒットに導いたハリウッドNo.1 俳優ジョニー・デップと、『17 歳のカルテ』(1999)でアカデミー賞助演女優賞に輝き『チェンジリング』(2008)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたハリウッドNo.1 女優アンジェリーナ・ジョリー。世界中の映画ファンが待ち続けた、いまのハリウッドを代表する人気スター2 人の初共演がここに実現し、最高にゴージャスなミステリーが誕生した。
 CG、3 D が当たり前、俳優の表情にもCG を施すこの昨今の潮流に、あえて『ツーリスト』が求めたのは究極のハリウッドスター映画。そもそもハリウッドが映画の聖地として確立したのは、ハリウッドならではのスタジオとスターシステムゆえ。美しい男女優が夢のような設定のなかで、はらはらドキドキのストーリーを展開し観客をうっとりさせる、そんな映画本来の楽しさを『ツーリスト』は最高のスターと最高のスタッフ、そして最高の舞台を得て我々に想い起こさせてくれる。
 ジョニー・デップが演じるのは、ヴェネチアへ向かう車中での見知らぬ美女エリーズとの出会いから、陰謀とロマンスと危険が織り成す罠にはまってゆくアメリカ人観光客フランク。マッドハッターやスパロウ船長のような強烈なキャラクターが多いデップにとって、究極の凡人フランクはむしろ異色の役どころ。エリーズに惑わされる驚きと戸惑いの表情で軽妙さを見せ、映画の後半、白のタキシード姿でりりしさ、頼もしさを見せるデップには、改めてその“正統派” の魅力を再認識させられる。
 一方ジョリーが演じるエリーズは、行方不明となっている犯罪者アレクサンダー・ピアースの恋人で、警察の目をくらますため見知らぬ男フランクを誘う。姿をくらました恋人を待ち続ける一途さの裏には、驚くほどの強さを秘めている美しくミステリアスな女性だ。『チェンジリング』のシリアスな演技や『ソルト』(2010)のアクションなどでいずれもリアリティを追求してきた彼女が、まさに「銀幕のヒロイン」と呼ぶに相応しいエレガントな“夢の女”に挑戦、アカデミー賞受賞デザイナー、コリーン・アトウッドの華麗な衣装に身を包み、エレガントな立ち居振る舞いで、これもまた往年のハリウッド女優と見まごうばかりだ。
豪華顔合わせに相応しい最高のスタッフ陣、そして舞台は世界一美しい街ヴェネチア
 この豪華顔合わせをひとつのスクリーンに収めたのは『善き人のためのソナタ』(2007)でアカデミー外国語映画賞に輝いたドイツのフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。ジョリー自らが彼の作品を観て監督に指名した。ウィットにとんだ台詞の応酬にちりばめられた大人のミステリーを映画化するには、洗練されたヨーロッパテイストの演出が不可欠だったのだ。ドナースマルクは脚色も共同担当し、そのほかのスタッフもアカデミー受賞者で揃えられた。共同脚色のクリストファー・マッカリーとジュリアン・フェロウズは、それぞれ『ユージュアル・サスペクツ』(1995)、『ゴスフォード・パーク』(2002)でアカデミー脚本賞を受賞している。製作には『ディパーテッド』(2006)でアカデミー作品賞を受賞したグレアム・キング。撮影は『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)でアカデミー撮影賞を受賞したジョン・シール。編集は『7 月4 日に生まれて』(1989)、『JFK』(1991)でアカデミー編集賞を受賞したジョー・ハッシング。2大スター初共演に相応しい超一流のスタッフが結集した。
 さらにこの贅沢なミステリーの舞台として選ばれたのは、世界一ロマンティックで美しい街ヴェネチア。水の都ヴェネチアの光に輝く水面や霧にかすんだ運河、宮殿や寺院、歴史的美術品をバックに、運河上でのチェイスシーン、エリーズとフランクの濃厚なラブシーンや舞踏会でのダンスシーンが展開する。ファーストシーンからラストシーンまで、すべてが計算され尽くした美しさで、魅惑的なロマンスに上質のユーモアがブレンドされたミステリーに、ただただ観客は身をゆだねて陶酔することだろう。そして、最後にたどり着いた驚きの結末に、快い後味を感じながらエンドロールを迎えるに違いない。

2011/3/5(sat)公開