Les Aventuriers
1967/フランス/110分
出演:アラン・ドロン リノ・ヴァンチュラ ジョアンナ・シムカス
監督:ロベール・アンリコ
偏差値:60.7 レビューを書く
青春の切ない光と影 [90点] [参考:1]
このレビューはネタバレを含みます
二人の男と一人の女の物語は映画が面白くなる黄金比ではないだろうか。
男達の友情の行方と女との微妙な関係が興味深いからである。
たちの悪い嘘からパイロット免許を剥奪され空を飛べなくなった男マヌー(アラン・ドロン)
レースカーの開発に失敗し資金の尽きた男ローラン(リノ・ヴァンチュラ)
そして新進芸術家として華々しく個展を開いたが酷評に打ちのめされる女レティシア(ジョアンナ・シムカス)
彼らはパリを捨て、一攫千金を求めてコンゴへと向かう。
夢に破れ挫折と失望を味わったパリとは違い、コンゴの青い空と美しい海は彼らに優しい。
そして海底に墜落した飛行機からついに手に入れた5億フランの財宝。
パリのアラン・ドロンはハンサムではあるが、軽めの若者を演じているためか、無骨でこわもて顔のリノ・バンチュラの方が魅力的に見える。
しかしコンゴの海では髭づらのボサボサ頭で、ギラギラした目つきで財宝を探し求めるアラン・ドロンの方が魅力的である。
パリでの挫折を忘れるかのように船の上ではしゃぎ回るジョアンナ・シムカスが実に可愛い。
だがこのままハッピーエンドで終わらないのがフランス映画らしい。
墜落した飛行機のパイロットが無理やり彼らに加わることによって、もろくも崩れさった黄金比が物語の結末を予感させる。
残され者の哀しさを見せつけるかように空から映された映画の最後の舞台となる海に浮かぶ城塞島と、そこに流れるもの哀しいまでのテーマ曲が切なく響く。
40数年前とは思えない、いや40数年前だからこそここまでストレートに青春の切ない光と影を描けた名作であると思う。
2009/01/13 23:00 (2009/11/07 06:20修正)