ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


ケンタとジュンとカヨちゃんの国

2009/日本/リトルモア/131分
出演:松田翔太 高良健吾 安藤サクラ 柄本佑 多部未華子 美保純 小林薫 柄本明 
監督:大森立嗣
http://www.kjk-movie.jp/

偏差値:54.3 レビューを書く 読者レビュー(1)

戻る場所は、ない。

生まれたときから親もお金もなかった。
生き方も死に方も、誰も教えてくれなかった。
親のいない子供たちの施設で兄弟のように育ったケンタとジュン。中学を卒業して得た解体現場の仕事は、電動ブレーカーでひたすら壁を壊す“はつり”の仕事だった。安い賃金に過酷な労働。夢を語ることもなくただやり過ごす日々。2人はある日、すべてをぶっ壊して“ここ”から抜け出す決断をする。盗んだ車にカヨちゃんを乗せて、刑務所に収監されている兄に会うため2人は出発した。それが取り返しのつかない旅になることにも気づけずに──。
幸せについて考えることも知らぬまま大人になった若者たち。親も兄弟も戻る家もなく、知識も少なければ職業選択の自由もままならない。夢を描くことがどんなことかさえ分からない彼らの心が抱え続けるどうにもならない苛立ちと、深い闇のような孤独。ただひとつ目指した小さな希望さえも打ち砕かれたとき、彼らは何を見るのか──。今年、恐るべき青春映画が誕生する。ケンタとジュンとカヨちゃんの国。それは、私たちの生きるこの国だ。この国で生きる場所を探して彷徨い続ける私たちの物語だ。

松田翔太・高良健吾・安藤サクラ
未来を担う3人の若い俳優が鮮烈に体現する「私たちの物語」
怒りと悲しみを鋭い瞳と体にたぎらせるケンタを演じるのは、故・松田優作の次男にして次世代を担う俳優として熱い注目を集め、今や絶大な人気を誇る松田翔太。現代日本社会を生きる等身大の若者の姿を気迫溢れるその存在感で生々しく演じ、本格派俳優としての新境地を拓いている。ケンタと共に旅に出るジュンを演じるのは、『BANDAGE』(小林武史監督)『ソラニン』(三木孝浩監督)『ノルウェイの森』(トラン・アン・ユン監督)等今年も話題の映画に次々と出演を果たす実力派・高良健吾。存在の拠りどころをケンタだけに求めるジュンの寂しさをリアルに表現した。そして『愛のむきだし』(園子温監督)等で強烈な印象を残し今もっとも注目を集める新人・安藤サクラがカヨちゃん役で出演。ラストシーンですべての観客を圧倒する。いまを生きる若者たちの孤独や苛立ち、そして希望と絶望を、比類なき3人の個性で見事に体現した本作。さらに、柄本明、小林薫、美保純、洞口依子、山本政志等のベテラン俳優や、新井浩文、宮崎将、多部未華子、柄本佑等の若手実力派俳優が一堂に集結、映画としての強度を確かなものにしている。

感情が揺さぶられ続ける、恐るべき青春映画の誕生
監督は、『ゲルマニウムの夜』で圧倒的賞賛を集めた大森立嗣
ぶっ壊して抜け出すんだよ──。人生を選べずに生きてきた若者たちの絶望的な旅の物語を描いたのは、前作『ゲルマニウムの夜』で初監督ながらその堂々とした作風と独自の感性が評価され多数の国際映画祭でも招待上映された、大森立嗣(たつし)監督。この時代を生きる同世代の若者たちの切実な“生”と“死”の物語をオリジナル脚本で描き、映画史に残る本格派青春映画として誕生させ、再び世界へ大きな問いを投げかける。また、撮影を前作『ゲルマニウムの夜』でも見事大森監督の世界観を写し撮った大塚亮が担当。他、録音に加藤大和(『ウルトラミラクルラブストーリー』『ディア・ドクター』)、美術に杉本亮(『バベル』『Map of the sounds of Tokyo』)、編集に普嶋信一(『ウルトラミラクルラブストーリー』『プール』)、衣裳に伊賀大介(『ヤッターマン』『蘇りの血』)、音楽に大友良英(『色即ぜねれいしょん』『アブラクサスの祭』)など日本映画の未来を担う先鋭達が参加、監督をがっちりと支えた。
さらにエンディングテーマは、70年代フォークの神様と呼ばれた岡林信康による知る人ぞ知る名曲「私たちの望むものは」を、人気急上昇中のシンガー・阿部芙蓉美がカバー。誰もが胸をつかまれるそのラストを飾る。

STORY

ケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)は同じ施設で兄弟のように育った幼なじみ。工事現場でひたすら壁を壊す“はつり”と呼ばれる仕事が二人の仕事だ。低賃金、劣悪な労働環境。そして職場の先輩・裕也(新井浩文)による理不尽で執拗ないじめ…。ある日二人はナンパに出かけ、ブスな女の子・カヨちゃん(安藤サクラ)に出会う。それ以来ジュンはカヨちゃんの部屋に転がり込んでいた。
裕也の腹には消えずに残る何本もの傷痕がある。その傷は、ケンタの兄・カズ(宮_将)によるものだった。ケンタがまだ13才だった頃にカズが起こした幼女誘拐未遂事件。カズは、事件のことを馬鹿にした裕也の腹をカッターナイフで何度も切りつけたのだ。その賠償金と称されて、ケンタは毎月裕也に金を払い続けている。「…ケンタくんは言った。世の中には二種類の人がいる。一つは人生を自分で選べる人…もう一つは選べない人…。オレたちは選べない人……」。
ある深夜、ケンタとジュンは仕事場へ向かった。付いてくるカヨちゃん。今夜二人はある計画を実行する。それは、裕也の愛車を大ハンマーで破壊し逃げることだった。裕也の車の上に飛び乗り力いっぱいハンマーを振り下ろす二人。その光景にカヨちゃんは歓声をあげて喜んだ。二人は、カズのいる網走に行くことを決めた。ケンタとジュンとカヨちゃん。お金も知恵もない三人の、後戻りできない旅がはじまる——。


2010年6月12日より、 新宿ピカデリー、渋谷ユーロスペース、池袋テアトルダイヤ他、全国ロードショー


ケンタとジュンとカヨちゃんの国

(C)2010「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」製作委員会

シネマコミュニティ



最新の記事