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川の底からこんにちは

2009/日本/ユーロスペース/112分
出演:満島ひかり 遠藤雅 相原綺羅 志賀廣太郎 岩松了 
監督:石井裕也
http://kawasoko.com/

偏差値:57.5 レビューを書く

私なんて中の下ですから・・・ [75点]

※ネタバレを含むレビューです。
「しょうがないですから」
が口癖のどんづまりOLの一発逆転物語・・・!

ということなんだけど、
佐和子の「のらりくらり」生活は半端なくて、
あきれかえってしまいます。

声をかけてきた男と惰性でつきあい、
男にいいように扱われて捨てられる・・・・
その5人目の男は元会社の上司で、バツイチ子持ち。
現在無職(変なミニカー作ってクビになった)
というこの男、「駄目だけど憎めない」という設定らしいですが、
私は、こういうヤツ大~っきらいなので、
もうストレス溜まって変になりそうでした。

彼の連れ子のことを叔父に聴かれて
「あ、
あ、説明めんどくさいから私の子でいいや」
って、そこはがっちり説明するところだと思うけど・・・

シジミ工場で佐和子を待ちうける従業員のおばちゃんたちは、駆け落ちして故郷を捨てた佐和子に敵意むき出し。おどおどしゃべる彼女に
「なにをいってるんだか、聞こえませ~ん」
事務所の中にいきなりロッカーがあって、おばちゃんたち、いきなり生着替え、というのもスゴイ!


ゆる系ドラマの必須アイテム「岩松了」は
「ちょっと出てうざい事をいって、ささっと消える」
という節度ある遣い方が鉄則だったのですが、
この作品では叔父役で出ずっぱりの準主役扱い。
そにかく他の出演者みんなウザいので、意外と気にならないです。

何ひとつ自分の意思で選ぶことんsく、惰性にまかせて生きてきた以前の佐和子は私にはありえなかったのですが、倒産寸前の会社をなんとかするべく、まず会社の新しい社歌をつくって、次第におばちゃんたちをとりこんで売り上げを「2倍弱」まで伸ばすなんて、爽快感いっぱいでした。


上がる上がるよ 消費税 
金持ちの友達 一人もいない  
来るなら来てみろ 大不況 
その時ゃ 政府を倒すまで
倒せ倒せ 政府
シジミのパック詰め 
シジミのパック詰め
川の底からこんにちは 

何だかよくわかんないですが、
とにかく頑張るしかないでしょ!という歌です。

「私なんか中の下ですから・・・」というのは前半では「ぼやき」にしか聞こえなかったのですが、
「中の下で何が悪い!良いとか悪いとかじゃなくて
私、決めたから。たいした女じゃないんだから。
もう頑張らなきゃしょうがないんだから・・・」

文字にすると、ただ開き直ってるだけに見えますが、
皆の前で 大きな声で叫び続ける佐和子(というか満島ひかり)にはちょっと涙がでました。

けっこう下ネタもおおく、上品な映画じゃないのですが
それほどイヤじゃないのは、きっと監督のセンスがいいからでしょうかね。


ものすごく良い映画をつくろうとしてないところ、がいい。
「こんな映画、中の下ですから」って思って作ってたりして・・・・・

2010/05/13 02:11

kerakuten

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