ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


Io, Don Giovanni
2009/イタリア・スペイン/ロングライド/127分
出演:ロレンツォ・バルドゥッチ リノ・グアンチャーレ エミリア・ヴェルジネッリ トビアス・モレッティ エンニオ・ファンタスティキーニ フランチェスカ・イナウディ 
監督:カルロス・サウラ
http://www.don-giovanni.jp

偏差値:58.3 レビューを書く

モーツァルトが脇役だ! [85点]

このレビューはネタバレを含みます

モーツァルトの楽曲がさぞやたくさん使われるだろうと
とても楽しみにしていたのですが、いきなりかかったのはヴィヴァルディの「四季」です。そして、ダ・ポンテとの出会いのシーンで彼が弾いていたのは、なんとバッハの「トッカータとフーガ」!!モーツァルトがパイプオルガンでバッハを弾くなんて、(実際弾いたのでしょうが)なんかイメージ違いますね。

私はけっこうモーツァルトのオペラ、好きなのですが、最高傑作といわれる「ドン・ジョバンニ」って、あんまり有名なアリアないんですね。
繰り返しでてきた「恋とはどんなものかしら」は「フィガロの結婚」の中でケルビーノが歌う、有名なアリアですよね。お門違いの感じもありますが、やっぱり聴きなじみのある曲がでてくると嬉しいです。
結局「ドン・ジョバンニ」のオペラは思ったほど満喫できなかったのですが、ダ・ポンテが彼に匹敵するほどのプレイボーイとは知りませんでした。

最初のシーンは、ユダヤ教から改宗の洗礼を受けさせられる貧しいユダヤ人の子どもたち。その中に若き日のダ・ポンテもいました。
「あ、また気の毒なユダヤ人の話?」と思ったのですが
彼は長じて神父でありながら詩人で作家。そして数多くの女性たちと浮名を流す放蕩者に成長し、あの恐ろしい異端裁判を受けることに。
教会・国家への反逆
放蕩・不敬の罪、
公然の内縁関係
秘密結社とのかかわりなどなど・・・
これだけ言われたら「斬首」でしょ!と思ったら、「15年のベネツィア追放、入国禁止」という意外に軽い刑。
「ウィーンで君の才能を開花させるべきだ」とカサノヴァ(元祖放蕩者)の口利きで宮廷音楽家サリエリに面会し、モーツアルトと出会うわけです。
この二人の関係はどの程度史実かはわかりませんが、天才ふたりのひらめきを重ねて作品が出来上がっていくところがスゴイ。
今まで劇中にでてきたモーツァルトって、天才だけど性格破綻していて、コンスタンツェも悪妻のイメージ強いのですが、本作では二人ともわりと普通の人で、好感度↑
「夜も昼も働きどおし」の召使の歌う短い旋律が浮かぶまで散々苦労するとことなんて、モーツァルトっぽくないです。新解釈かな?

完璧「音楽劇」なのに、すべての場面に額縁をつけたら絵画になるような古典絵巻みたいな映像にも見とれました。

2010/05/04 00:57

kerakuten

参考になりましたか?

この映画のレビューをまとめて表示する