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カケラ

2009/日本/ピクチャーズデプト/107分
出演:満島ひかり 中村映里子 永岡祐 光石研 根岸季衣 志茂田景樹 森岡龍 春謡漁介 大堀恵 尚玄 かたせ梨乃 津川雅彦 
監督:安藤モモ子
http://love-kakera.jp/

偏差値:56.4 レビューを書く 読者レビュー(1)

26歳 安藤モモコが放つ、 ココロのスキマとワタシのカケラ。
同世代の女性監督、安藤モモコが、驚くほど素直に、いまどきの女子の心のヒダを抉り、心の奥底に潜む「フィロソフィー」を描く、正統派ドラマ、なのにオフビート、かなりアンビバレントなデビュー作『カケラ』
オンナノコからオンナへ成長する彼女たちの、隙間だらけの毎日。

この映画を観た大人は黙る。
残酷で繊細なオンナノコたちの日常には、大人はいつでも目をつぶりたいものだから。

この映画を観た若いコたちは、憧れる。
モモコの描く世界が、あまりにも、いまの自分と寄り添っているから。


【STORY】

お月様も満月は一日だけ。あとはずっと欠けてるんだよ。欠けている月もきれいだよ。

「こういうこと、よくするの?」 「ねぇ、女の子にしか、興味がないの?」

ある日のカフェで、こんな軽い会話をかわし、 正反対のふたり、ハルとリコの微妙な関係は始まった――。

女子大生のハルにはボーイフレンドがいる。
でも彼は、ちっともハルと心を交わしてくれない。
ハルは思う。 愛されるってなに?
誰かを愛するって、どういうこと?

リコは、仕事に生きる女。病気や事故で体の一部を失くした患者さんのパーツを作っている。 リコの創る義肢たちは、ホンモノ以上にリアルで、本当に体の一部が生き返ったみたいだと、患者たちから評判を呼んでいて、みんなはリコのことを、メディカル・アーティストと呼んでいる。ただ単に失った体の一部を創るんじゃなく、ひとの心の再生も担っているリコ。 カッコイイ女。 患者さんの人生や、哀しみに触れることが多いリコは、繊細なリベラリスト。 愛するという気持ちに、オトコもオンナも関係ないと考えている。

リコの強い人生観に諭され、ハルは、カレシ(涼太)から単なる便利な女としか見られていないことに、ふと気づく。どっちつかずでつれない毎日を、なんとなくリコと一緒に過ごしていたハルは、最近、自分にも本当のシアワセの意味が判ってきたような気がしている。 いつの間にか、ふたりの関係は、なんとなく親密なものへと発展中。

ハルは、リコの一方的な愛情に、少しだけウンザリして、世間の偏見と、いま自分が置かれている状況と、見えなくなった自分のキモチの間で、心がキシキシ、言っている。 そしてリコには、リコのことを愛している患者の陶子という存在がいる。陶子さんは大人のおんなのひとだ。だから、最近、リコとハルの間には、ますますややこしい愛情や友情が絡まってきて、心地よかったバランスが、崩れちゃったみたいだ。

わたしたちは、いったい、なにを探しているの?
誰かを愛するってどういうこと?

ココロスキマを埋めてくれる「ワタシのカケラ」は、どうしたら見つかるの?

4月3日よりユーロスペースほか全国順次ロードショー。