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シェルター

Shelter
2009/アメリカ/ブロードメディア・スタジオ/112分
出演:ジュリアン・ムーア ジョナサン・リス・マイヤーズ 

監督:モンス・モーリンド、ビョルン・スタイン
http://www.shelter-movie.jp

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圧倒的な衝撃性とリアリティを宿した本格派のスーパーナチュラル・スリラー

 『パラノーマル・アクティビティ』が全米で社会現象的な大ヒットを記録し、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『THE 4TH KINDフォース・カインド』が登場。さらに巨匠クリント・イーストウッドが次回作では初めて超常現象をテーマにした『ヒアアフター』(原題)に取り組むなど、ハリウッドではスーパーナチュラル的題材を扱ったスリラーが急速にブーム化しつつある。
 スウェーデン出身の気鋭監督ユニット、マンス・マーリンドとビョルン・ステインが放つ『シェルター』は、こけおどしのヴィジュアル・エフェクトに一切頼ることなく、徹底的にリアルなタッチを貫いた本格志向のスーパーナチュラル・スリラーである。彼らのアメリカ映画界進出をバックアップしたのは、『告発のとき』『ザ・リング』などの質の高い話題作に携わってきた敏腕プロデューサー、ダーレーン・カーマニョ・ロケットとマイク・マキャリ。『Re:プレイ』『“アイデンティティー”』といった人間の記憶や精神世界をモチーフにした迷宮的な異色スリラーで、映画ファンのド肝を抜いてきた鬼才マイケル・クーニーの驚くべき内容のオリジナル脚本を映画化した。


精神分析医が禁断の闇の果てにたどり着く、超常現象〈シェルター〉の驚愕の全貌とは?

 その想像を絶する怪事件は、ある謎めいた患者との出会いから始まった。精神分析医カーラが、解離性同一性障害(広義の多重人格障害)を患っていると疑われる青年デヴィッドの診察を開始する。デヴィッドの内面を探っている最中、彼は突然アダムと名乗り、まったくの別人に豹変してしまう。さらにウェスと称する第三の人格が出現。カーラはそれぞれ実在するデヴィッド、アダム、ウェスのいわく付きの過去を調べるうちに、科学では説明しようのない“シェルター”という超常現象の存在を突き止め、後戻りできない惨劇に巻き込まれていく……。
 精神分析医と患者の対話を息詰まる緊迫感で見せていく『シェルター』は、人間の心の闇に切り込むサイコロジカル・スリラーの形をとって展開していく。ところが、じわりじわりと明らかになってくるこの物語の“闇”の深さは尋常なレベルではない。多重人格者らしき青年をめぐり、次から次へと浮かび上がってくる得体の知れないミステリー。やがてその謎は精神医学の常識をやすやすと吹っ飛ばし、90年前から現代に至る歴史の中に封印された“禁断の闇”へと観る者を引きずり込んでいくのだ。
 通常“シェルター”は防空壕や避難所を意味する言葉だが、この映画では人間の魂を“隔離する”超常現象のことを差す。そんなオカルトじみた出来事が本当に起こりうるのか。いったい誰が、何のためにその恐ろしい儀式を行うのか。そして幾つもの人格を宿した青年と“シェルター”の間には、いかなる因果関係があるのか。主人公カーラの調査によって、パズルのピースがひとつまたひとつと埋められていくたびに戦慄の真実が発覚し、これでもかと炸裂するどんでん返しの連鎖。“シェルター”にまつわる血塗られた歴史の壮大なスケールを目のあたりにし、その暗黒の恐怖に背筋が凍りついた観客は、もはや“先読み不可能”という決まり文句さえも生温く感じることだろう。




実力派俳優ふたりの迫真の演技が醸し出す、めくるめく恐怖と不気味な余韻
 
 この濃密なスーパーナチュラル・スリラーにいっそう迫真のリアリティを吹き込んだのが、実力派として名高いふたりの主演俳優である。まず精神分析医カーラを演じるのは、さまざまな映画賞に輝き、『めぐりあう時間たち』『エデンより彼方に』などでアカデミー賞に4度ノミネートされた実績を誇るジュリアン・ムーア。誰もが認めるハリウッドのトップ女優であり、実はひねりの利いた恐怖映画の大ファンだという意外な一面を持つ彼女が、果敢な謎解きに挑戦するヒロインを人間味豊かに演じている。優れた精神科医であるカーラは科学を信奉するとともに、神への信仰心も厚く、いかなる苦難も克服しうると信じているタフな女性。そんなカーラが母性や家族愛といったテーマも伝えながら、果てしなく深い闇にのみ込まれていく運命から目が離せない。

その存在そのものが本作最大のミステリーというべき多重人格者の青年に扮するのは、『ベルベット・ゴールドマイン』『マッチポイント』のアイルランド人俳優ジョナサン・リス・マイヤーズ。物語が進むごとに別の人格が表出するというこのうえない難役のキャラクターを、繊細かつ大胆な役作りで体現し、一度や二度にとどまらないサプライズな見せ場を連発する。なかでも人格が入れ替わる瞬間のパフォーマンスの凄まじいテンションは、現場のスタッフや共演者が驚愕させられたほど。全編に渡って繰り広げられるジュリアン・ムーアとの白熱の演技合戦は、やがて衝撃のラスト・シーンへと到達し、エンドロールを見届けた後もなお観客を不気味な余韻に浸らせていく。


STORY

カーラは、解離性同一性障害疾患を認めていない精神分析医。ある日、デヴィッドと名乗る男の診察を始めると、別人格が現れた。このケースも単に彼が周囲を混乱させる愉快犯だと考えたカーラは、彼の身辺を探る内に、デヴィッドとは25年前に亡くなった故人であることが判明する。その間にもデヴィッドの人格は次々と入れ替わり、カーラの疑念は深まっていく。そしてカーラが導かれるようにして辿り着いた先は、時代に葬られていた血塗られた歴史だった‥。彼は、ただの虚言者なのか。それとも現代に甦った滅びの使者なのか。この男に潜む闇は、科学では説明の付かない闇。決して触れてはいけないものだった─。

3/27ロードショー。


シェルター

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