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Un Homme Et Une Femme
1966/フランス/104分
出演:アヌーク・エーメ ジャン・ルイ・トランティニャン ピエール・バルー ヴァレリー・ラグランジェ 
監督:クロード・ルルーシュ
撮影:クロード・ルルーシュ
脚本:クロード・ルルーシュ、ピエール・ユテローバン
音楽:フランシス・レイ

偏差値:65.0 レビューを書く

ダバダバダ~♪ [100点] [参考:2]

このレビューはネタバレを含みます

まずは、A・エーメのアンニュイとトランティニャンの乾いた男臭さが最大の魅力。
そしてウットリとするモノクロームとセピアトーンの美しい映像、ドキュメンタリーのようなスピーディなカメラワークや有名なフランシス・レイの“ダバダバダ~”と、なんともいえない癒し系のテーマ曲がよいです。
また、パリやドービル地方の街や自然の美しい仏映画らしい叙情的なシーン。
ドキュメンタリータッチのル・マン24時間レースやモンテ・カルロ・ラリーを折り込んでいて、シーン毎の強弱が絶妙にマッチしています。

私が最も惹かれる恋愛映画は、男と女が出会って愛しあうまでの過程を描かれた作品ですが、この映画は見事に満足しました。
物語は、女は映画のスクリプター、男はカー・レーサー。通常とは別世界。
ふとしたことで、出会い、徐々に惹かれあっていく。
その随所にちょっとしたエスプリもあります。
特に子供達と食べるレストランの二人のやりとりは面白い。
男が女の美貌を賞賛して、「女優になりたいとは思わなかったの?」と問います。女はさらりと「俳優はつまらない職業だわ」と否定します。
実際は俳優の彼らに言わせてるのです。なんだか笑えます。

また、シンプルな構成なので、二人の心理状態がこちらによく伝わってきます。
特に女は表情やしぐさだけで気持ちを表してます。
この辺のエーメの存在感はすごいです。

また、主な登場人物が極端に少ないです。
主人公の男と女の他に、この二人の娘と息子。
そして寄宿舎の二人を引き合わせてくれた女の先生、それから回想シーンで出てくる二人が失くした夫と妻。

この回想シーンはこの作品に大切なアクセントをつけてます。特に、女の亡き夫との回想シーン。
詩人でサンバを口ずさみ、スタントマンという一風変わった亡夫。
男は車の中で女に「スタントマンという夫の職業はともかく君の人生は平凡だね。」というのですが、すかさず女は「他人には平凡でも私には、夫は特別。愛情は人を特別な存在に変えるのよ」といいかえします。
女にとって亡き夫の想いがまだ心の中に残っているのです。
これが後のラストの方での男と女のベッドシーンで女の行為を裏付けさせてます。

カー・ラリーの入賞のあと、女の思いがけない衝撃的な告白の電報を受けとった男は愛車を飛ばして、女のいるドービルの街へ。

このシーンは、男のモノローグと慌てながらもウキウキした行動は滑稽だけど、愛に夢中になっていて微笑ましいです。
海岸遊びしている、女とその娘にクラクションを鳴らして(光らせて?)自分をわからせる。
このシーンもとてもお洒落~。
そして二人は子供たちを寄宿舎へ帰して、ホテルに泊まって愛を確かめ合うのですが、女は・・・。

ここから先は、微妙な男と女の心理が交錯していきます。
女は過去を引きずってしまう、男はそんな女を見て「よっぽど変わった亭主だったんだろう!おかしな男がモテるのさ」と落胆しながらぼやくのです。

私はこの作品、すご~く愛してるのですがラストシーンが逆の終わり方だったら、多分ビデオは購入しなかったと思ってます。

2008/04/23 23:44 (2008/04/24 22:33修正)

ちりつも

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