ザ・フライ
The Fly
1986/アメリカ/96分
出演:ジェフ・ゴールドブラム ジーナ・デイヴィス ジェイ・ブーシェル
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
偏差値:57.2 レビューを書く
ぎゃーーー! [75点]
※ネタバレを含むレビューです。
なんともグロテスクな作品でした。
CGを見て育ってきた私にとって、特撮によるハエ男への変身は衝撃的でした(これと同じような衝撃を「遊星からの物体X」でも感じました)。
顔の皮がべちゃべちゃと剥がれ落ち、昆虫のような目が現れ、関節からは節足がズズズッと生えてきて…
肉を溶解する酵素液を吐き出して、手を溶かしてしまうシーンなんて、もう壮絶で、何でスパゲッティを食べながら見たんだろう、とひどく後悔しました。
2009/07/21 19:55
jake
愛と科学の限界点 [90点] [参考:1]
※ネタバレを含むレビューです。
テレポッドという物質転送装置を開発している科学者セス。装置の完成が真近となり、彼はついに自らを物質転送の実験台とする。実験は成功したかに見えたが、その際に一匹の蠅が装置に紛れ込んでいたため、彼は遺伝子レベルで蠅と融合する結果に。
セスの肉体は徐々に変貌してゆく。まず精力が抜群になり、背中に剛毛が生え始め…。始めは何も気付いていなかった彼は、その変化を単に装置に入ったための超人化と考え喜ぶ。自分の恋人ベロニカにまで、物質転送実験するよう執拗に勧める有様だ。
ところが髪の毛が抜け、歯が抜け、つめが剥がれ落ち…と異変は続き、ようやくセスは自らの実験のミスを悟るのだった。 なんとか元に戻る方法を模索するが、その間にも肉体の怪物化は進み、蠅のように手をすったり天井を這い回ったり、顔が崩れ…と既に手遅れの事態に突き進んでいく。
セスの子供を身ごもっていたベロニカは絶望する。彼女はセスを愛しながらも、どんどん人間ではなくなっていく彼をどうすることもできずに苦悩する。
最後、ついに変態が完了し怪物となったセスは、ベロニカもテレポッドに入ることを望みますが、彼女は銃を向けます。引き金を引くことを躊躇する彼女の姿を見た怪物は、銃の先を自分の頭に向け発射するよう促すのだった…。
後々になってわかったことですが、哀しみ色のホラー・サスペンス「デッドゾーン」はクローネンバーグのキャリアの中ではむしろ異質な作品なのですね。ごくごく一般観客向けの作品(笑)。 それを思い知ったのは、この「ザ・フライ」のぐちゃどろSFXを目の当たりにしたときでした。私にとってこのビジュアルが、クローネンバーグについていくか見限るかの踏み絵となったのです。
この作品はアメリカを始め世界中で大ヒットを記録し、一躍クローネンバーグの名前を広める結果をもたらしました。
この救いがたく暗いSF譚が受け入れられた最大の要因は、人間の肉体が徐々に怪物と化していくホラー要素ではなかったと思われます。それ以上に物語の大きなウェイトを占めていたのは、恋人の悲劇をどうすることもできないベロニカの苦悩。彼女の苦悩を通じ、私達は、科学を過信する風潮への大いなる警鐘を聞かねばならないのですね。
セス自身は、肉体の変貌を新生物になるための進化だと思い込もうとしますが、所詮はそれも虚しいものです。肉体の変化を止められないのなら、いっそ愛するベロニカやそのお腹に宿る子供と一体化したいと願うセスは、クローネンバーグが描くところの典型的なキャラクターですね。科学を万能だと信じ、己の肉体を変えてまでもその彼岸へたどり着こうとする妄執の虜。彼らが一様に悲劇的な結末を迎えるのも、科学と人間の関わりの限界を示すことに他なりません。クローネンバーグは映画の中で、科学的思考や行動を賛美するように見せかけながら、その実それをシニカルに切り捨てているのかもしれません。
そうそう。ベロニカが、巨大な蛆虫を出産する悪夢を見るシーンで、それをとりあげる産婦人科医として、クローネンバーグ自身がカメオ出演しているのは有名な話です。
2008/05/21 11:49
豆酢
少しずつハエになる [80点]
※ネタバレを含むレビューです。
物体を転送する装置を発明したジェフ・ゴールドブラムがハエと一緒に機械に入ってしまったために、ハエ男になってしまう映画。
いきなりハエ男ではなく、じわじわとハエになっていくところが怖く、最後まで目が離せなかった。
肌がボロボロとはがれてきて、ついには耳がとれてしまうシーンがショッキングだった。
2008/04/16 17:07
Mr.マグルス
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