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時をかける少女

2010/日本/スタイルジャム
出演:仲里依紗 中尾明慶 安田成美 青木崇高 石橋杏奈 千代將太 柄本時生 キタキマユ 松下優也 勝村政信 石丸幹二 
監督:谷口正晃
原作:筒井康隆
脚本:菅野友恵
撮影:上野彰吾
照明:赤津淳一
美術:舩木愛子
http://tokikake.jp

偏差値:59.3 レビューを書く 解説

タイムリープ1974 [80点] [参考:1]

※ネタバレを含むレビューです。
原田知世の可憐さに心を奪われた『時をかける少女』の27年ぶりの続編です。

主演が原田知世とはまったくタイプの違う元気いっぱいの仲里依紗なのでいったいどんな作品になるのだろうと思っていたのですが、青春時代の挫折とほろ苦さを思い出させるいい作品でした。

本作の舞台となる1974年は憧れの目で大人を見ていた時代なので、タイムリープ先で仲里依紗が恋心を抱く中尾明慶に自分自身を重ねることはできませんでしたが、彼の部屋に張ってある映画のポスターや周囲の人々の服装、車などの小道具がなかなか凝っていて、当時を懐かしく思い出すことができました。

ただ原田知世版の『時をかける少女』と本作のどちらが好きかと聞かれると、やはり前作の方がいい、と答えてしまいますね。

前作では未来人との、そして本作では未来人としてのどちらも決して叶うことのない相手との淡い恋が描かれていますが、その結末の描き方がまったく違ったものになっています。

どちらの結末をいいと思うのかは観る人によって様々ですが、例え叶わない望みであったとしてもどこかに微かな希望を持っていたい、と夢のようなことを考えている者には本作の結末は受け入れ難いものがありました。

これは主演の2人の違いではなく、監督や脚本家の考え方の違い、あるいはそれぞれが作られた時代の違いなのかもしれません。

また原田知世版『時をかける少女』の続編のはずなのに前作とリンクしていない部分も多く、前作への思い入れが強いためか、どうして本作はこんな設定にしてるんだろうと思わずにいられませんでした。

そのため『未来の者が過去を変えてはいけない。』というタイムリープ物の大原則で、本作の最もシビアな展開に関わる部分がよけい受け入れ難く感じたのかもしれません。

いやいやケン・ソゴルさん、あなたはそうおっしゃいますが、前作の未来である本作の設定がかなり変わっているのは、前作であなたが過去を変えたからじゃないですか、と突っ込みを入れたくなりました。

ん、とここまで書いて本作の設定に対してトンでもない思い違いをしているんじゃないかと気がつきました。

つまり本作は原田知世版『時をかける少女』の続編ではなく、筒井康隆の小説『時をかける少女』の続編なのではないのかと…

そう考えると仲里依紗がタイムリープするのが1983年ではなく1974年になっていることや、大人になった芳山和子が妙に明るい性格なのや、幼馴染みの吾朗ちゃんの名字や家業などが違ってるのも納得できますね。

原田知世版『時をかける少女』の続編と思い込みながら本作を観ての感想を長々と書きましたが、これは先入観を捨ててもう一度本作を観てみる必要がありそうです(^^;

2010/12/01 19:08

kira

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コメント3件

まさにノスタルジア [100点] [参考:1]

各種レビューは賛否もありますが、惑わされずに観てきました。
今年涼太と同じ50代、この年になっても恋心って芽生えるんだとあらためて感動しました。
約30年前に原田知世に恋をし、今回芳山あかりに恋をしてしまった。^^;
いい映画でした。
確かに突っ込みどころも満載ですが、この映画はそんなところを観る映画じゃないと思います。
いろんな世代に観てほしい映画だと思いました。
僕の中では満点です。

2010/03/27 02:22

zerozerooyaji

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コメント1件

タイトルが懐かしくて [70点]

昔やっていていた1983年版の映画でタイトルは馴染みがありましたので試写会に行ってきました。
安田成美が演じる薬学者がタイムリープする薬を発明して、娘役の仲里依紗が母のメッセージを持って1974年にタイムリープするのですが、懐かしげな風景や歌が出てきて、この映画は中高年にも受けるのではないかと思うようなできばえでした。タイムリープ先で出会う映画監督を目指している青年役を中尾明慶が演じていて、主人公との微妙な関係が切ないです。母娘に渡る切ない恋物語という感じでキュンとしてしまいます。

2010/03/01 01:39

はりねずみ

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