ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


誰かが私にキスをした

2010/日本/東映
出演:堀北真希 松山ケンイチ 手越祐也 アントン・イェルチン 桐島かれん エマ・ロバーツ 桐谷美玲 清水美沙 渡部篤郎 
監督:ハンス・カノーザ
原作・脚本:ガブリエル・ゼヴィン
http://darekiss.com/

偏差値:35.0 レビューを書く 読者レビュー(1)

2009年の9月、スクセ ナオミは階段から落ちた。文字通り、頭から、サカサマに。

“軽度の頭部外傷”“逆行性健忘症”。
救急車で病院に搬送されたナオミ(堀北真希)は、2005年から4年間のキオクを失っていた。
ナオミに残された最新のキオクは、病院まで付き添ってくれた、ちょっと陰のある、
ハンサムで大人びた、ユウジ(松山ケンイチ)という男の子と交わした、救急車での会話。

「あなたは … 私の、カレシなの?」
「君にはアメリカ人でイケメンのカレシがいるよ。でも、キスしたいと思っていたんだ」

そう言って彼は、モウロウとしたナオミの目の前から、消えた。
その姿をナオミの心に焼き付けて。

退院して久しぶりに登校したナオミを待っていたのは、無くした記憶だった。
ナオミは、東京のナショナルスクールの女子高生“だった”らしい。
しかし、4年間のキオクを失ったナオミにとっては、学校の全てが初めての景色だった。
見覚えのない校舎、親しげに話しかける見知らぬ教師たち、友達と称する初対面の人々…

そんな、混乱するナオミの心に、学校で孤立しているユウジの姿は、するすると入り込んできた。事故の夜以来の再会だった。兄を亡くし、リストカットの痕があるユウジには、いつも悪い噂が付きまとっていたが、それでも彼にどうしようもなく惹かれていくナオミ。

「以前から親友だった」と言うミライ(手越祐也)は、右も左もわからなくなったナオミを優しく助けてくれる頼れる存在だが、何故か、惹かれあうナオミとユウジを止めようとする。ナオミはそんなミライの気持ちを量りかねて、戸惑う。

そんな中、“カレシ”のエース(アントン・イェルチン)は記憶を失ったナオミがどんどん変わっていくことに苛立ち、「君はそんな女じゃなかった」と責めるが、ナオミにはどうする事も出来ない。

度重なる眩暈とフラッシュバックに映し出される、「顔の見えない誰か」とのキス。
キオクを無くす前のナオミは、本当は誰を愛していたのか。
今のナオミは誰を愛するのか。
そして、誰が、本当にナオミを愛していたのか。

「私は、もう、以前のナオミじゃない!」

無くした記憶に決別して、髪を短く切ったナオミ。

変わっていくナオミの周りで形作られた、近づいては離れる微妙な4角関係。
過去の出来事と葛藤し、自分の存在に悩みつつも、ナオミへの思いが強まるユウジ、
以前と変わらずナオミを暖かく見守りつつけるが、思いを告げられずにいるミライ、
思いは変わらないが、ナオミの変化を受け入れられずに戸惑うエース、
それぞれの思いが交差し、ぶつかり合いながら、続々と切ないラブストーリー紡ぎだされていく。

舞台は東京のインターナショナルスクールから、どこまでも高い青空のカリフォルニアへ。
失われた4年間のキオクは、4人を何処へ連れて行こうとしているのか…。
運命は、誰も想像出来ない“ある結末”を用意していた。

2010年3月27日(土)全国ロードショー