1954/日本/97分
出演:宝田明 河内桃子 平田昭彦 志村喬
監督:本多猪四郎(本編)、円谷英二(特撮)
音楽:伊福部昭
(データベース登録者:apple)
偏差値:62.0 レビューを書く
怪獣王ゴジラ初登場 [85点] [参考:1]
このレビューはネタバレを含みます
怪獣王ゴジラが生まれた栄えある第一作である。東宝特撮DVDコレクションが創刊したので購入したのだが予想以上に面白かった。
ゴジラは核兵器の影響で生まれた怪獣であり、この作品内でゴジラは人間の手によって殺される。当時の時勢もあって反核と人間の身勝手さが主軸となっていて単なる怪獣映画として終わらずに今日まで人気が出るほどの普遍性を作品に持たせられたのだと思う。
昔はゴジラと他の怪獣が暴れ回っているのを見ているだけで面白かったが、改めてゴジラ第一作を観てドラマとしても良くできていると思った。
山根博士は動物学者だからゴジラを殺すということに否定的だ。人間の都合で生物を殺すのは動物学者としては許し難いことだろうし、学者としても放射能の中で生き延びるゴジラの生命力を研究すべきだと話している。
人間の身勝手さを山根博士は嘆いているし、山根博士はゴジラという生物の悲しさを表すいいキャラクターとして機能していると思う。
山根博士の弟子である芹沢博士はオキシジェン・デストロイヤーを生み出して兵器として利用される可能性に苦悩するが故に山根博士の娘である恵美子にしかこの発明を話さなかった。
だが、ゴジラがそれを許してはくれなかった。東京に上陸したゴジラは東京を火の海にして、恵美子は人々の悲惨な姿に耐えられずに芹沢にオキシジェン・デストロイヤーの使用を求めてしまった。
科学の恐ろしさ、兵器を生み出してしまった芹沢の苦悩はゴジラという映画の中でも重要なものだと思う。
恵美子の行動も人としては当然のことであるので責めることはできないし、悲しいことだ。当時はまだ戦争から10年も経っておらず、被災者の姿を自分に重ねた人も多かったのではないか。
少しばかり偉そうなことを書いたが、単純に面白い映画だった。
最後に、印象に残ったシーンを。
ゴジラの姿を撮影し続けた報道陣。
「さようならみなさん、さようなら」
これは多分この映画を見た人が一番覚えているだろうセリフになると思う。
2009/10/11 01:23