ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


結婚しようよ

2008/日本/120分
出演:三宅裕司 真野響子 藤澤恵麻 AYAKO 金井勇太 田山涼成 岩城滉一 モト冬樹 入江若葉 松方弘樹 
監督:佐々部清
製作:高瀬哲、松本洋一
脚本:寺崎かなめ、市倉久至、佐々部清
撮影:長谷川卓也

(データベース登録者:kira

偏差値:54.3 レビューを書く

吉田拓郎の歌に乗せて [75点]

好きな監督は、と聞かれると真っ先に名前が浮かぶのが佐々部清監督である。

その佐々部監督が吉田拓郎の歌を題材に作った作品がこの『結婚しようよ』であり、映画は吉田拓郎ど真ん中世代の父親(三宅裕司)が久しぶりに聞いた彼の歌に昔を懐かしみつつ、年頃となった2人の娘の恋愛や独立話に悩み、怒り、涙しながらも家族の絆や他人との関わりを再確認するというものである。

世代的には吉田拓郎よりも下なので、彼の歌はある種大人への憧れのようなものを感じながら聞いていた程度で、熱狂的な吉田拓郎のファンという訳ではないが、やはり画面から吉田拓郎の歌が流れてくるとそれだけで懐かしくなる。

映画の随所に吉田拓郎の歌がその時の父親の心情に合わせてちりばめられているのが効果的である。であるのだが、ややそれに頼り過ぎてるのではとの印象も拭えない。

またこの作品では毎日家族そろった夕食をすることで父親が父親の威厳を保とうとするのだが、2人の娘が自分の意思を持ち始めることにより父親が味わう悩み、悲しみ、怒りが映画の暗の部分として描かれている。

この暗の部分が佐々部監督のこれまでの作品、特に『半落ち』や『チルソクの夏』や『出口のない海』などと比べると強烈なインパクトがなく、いつもになくあまい仕上がりになっている。

そのため映画から受ける印象はこちらが期待していた佐々部監督の作品とはかなり違っていたのに驚いたが、監督もたまにはこういった日常では誰もが感じてながら他人から見ればたわいもない暗を描かいてみたかったのかも知れない。

映画では父親が昔のバンド仲間の岩城滉一(歳をとってカッコいい。)やモト冬樹(テレビではお笑い系だが本職はミュージシャンだけあってギターが無茶苦茶うまい。)と再会する。

そして3人が若かり頃にマドンナであった真野響子はなぜか当時一番さえない感じの三宅祐司を選らんで現在に至っているのだが、この夫婦のやり取りが何ともいい感じである。

佐々部監督らしくない佐々部監督作品。これを皆さんはどう見るのだろうか。

2009/09/18 00:03

kira

参考になりましたか?

トラックバックはこちらのアドレスから受付しています。トラックバックについて