2001/日本/東宝/113分
出演:井元由香 小林桂 岡田浩暉 石田太郎 富田耕生 若本規夫
監督:りんたろう
原作:手塚治虫
脚本:大友克洋
偏差値:53.3 レビューを書く
手塚治虫のキャラが超大作に総出演 [76点] [参考:1]
手塚治虫原作の漫画を日本のアニメ界最初の巨匠りんたろうが映画化した作品。脚本は大友克洋。3人の巨匠のいいところがそれぞれ出た作品といえる。ティマが超人の椅子に座るシーンは「AKIRA」のようだし、ビル大崩壊は「銀河鉄道999」のよう。
スターシステムと呼ばれる手塚治虫ならではの人気キャラが超大作に総出演して「役者として」大活躍しているような、そういう錯覚をさせる楽しさがある。僕の一番のお気に入りのヒゲおやじの活躍ぶりが手塚ファンとしては何とも気持ちいい。富田耕生うまいなあ。
あの手塚治虫の初期の愛らしいタッチのイラストをモチーフにしていながら、内容はというと、かなりヘヴィな政治ストーリーになっていて、結構激しい銃撃戦もあり、絵とストーリーのギャップもたまらんです。
背景の映像は素晴らしすぎます。建物、未来都市、地下都市のイメージに惚れ惚れ。モブ・シーンが多く、いかにキャラクターを画面の中に小さく、そして細かく動きをつけて描いているかに注目。省略せずに小さい絵もしっかり描き込んでいて、よくできてるなあと思います。
昔のサイレント映画の手法が多分に取り入れられているところは映画ファンとして嬉しい限り。特にフリッツ・ラングへのオマージュがいっぱいある。エイゼンシュテインのオデッサの階段、ヒッチコックの眼鏡に反射する殺人シーンなど、非常に形式的に面白いです。ロックとケンイチが鉢合わせするシーンのスローモーションは何度見てもかっこいい。
というわけで、映像はなかなか面白く、どっぷりとその世界観に浸からせてもらえました。しかしDVDの映像がかなり汚く、VHS画質だったのが残念。いかにキャラを小さく見せるかが焦点の映画なのに、画面がいちいちピンボケしていて、収録事故か不良品かと思った。ブルーレイの方はこういう感じじゃないことを祈るばかり。金を返して欲しいと思ったDVDは後にも先にもこの1本だけです。
2009/08/31 05:05