The Great Escape
1963/アメリカ/165分
出演:スティーヴ・マックイーン リチャード・アッテンボロー ジェームズ・ガーナー ジェームズ・コバーン チャールズ・ブロンソン ドナルド・プレゼンス
監督:ジョン・スタージェス
偏差値:63.0 レビューを書く
マックィーンの魅力が光る脱走映画の原点 [95点] [参考:2]
このレビューはネタバレを含みます
あのテーマ曲が響いてくるだけで大興奮。脱出不可能なドイツ軍刑務所から、250人を同時脱出させようという大プロジェクト。
こういう映画は、前半で着々と準備が行われて後半で成功に向けて一気にアクションというのがパターンですね。同じくスタージェス監督の『荒野の七人』でもそうでしたが、前半の準備段階が意外と面白い。というか、前半の準備プロセスが丹念に練りこまれているほど、後半のアクションが生きてきます。
本作の前半部分は、丹念どころではなく、映画が始まってからトンネルで脱走するシーンまでなんと1時間50分以上。映画一本分の時間をかけて脱走準備を描きこみます。トンネルキング、偽造屋、調達屋などその道のプロフェッショナルの活躍や、一糸乱れぬ連携プレーで敵の目を欺く工夫、それにマックィーン扮する脱走常習犯ヒルツのヒーロー的キャラクタ。前半だけでも十分そこらの映画をしのぐ面白さを味わうことができます。
そして、映画の後半は、空前絶後の脱走作戦の顛末は良く知られている通りですが、その中でもやはりマックィーンは光ってました。実話を元とするこの作品で、ヒルツだけは完全に架空の人物。映画の撮影が始まってもマックィーンの満足できるキャラクターが決まらず、堪忍袋の緒を切ったマックィーンは降板を宣告。急遽アメリカからライターを呼び寄せて作り上げたキャラクターがヒルツでした。マックィーンがごねた結果のキャラですが、彼の渾身の演技で映画史に残る名キャラクターになりました。
独房で壁相手にキャッチボールをはじめるラストシーン。むなしさを乗り越えて新たな挑戦の意志を固める、不屈の闘志を余韻とした幕切れ。見事なラストシーンを見せてくれました。
2008/05/07 22:32