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2001/日本/89分
出演:矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治 こおろぎさとみ 津嘉山正種 小林愛 真柴摩利 林玉緒 一龍斎貞友 佐藤智恵 納谷六朗 
監督:原恵一
演出:水島努
原作:臼井儀人
脚本:原恵一
キャラクターデザイン:末吉裕一郎、原勝徳
作画監督:原勝徳、堤のりゆき、間々田益男

(データベース登録者:kira

偏差値:62.9 レビューを書く

大人が泣けるクレヨンしんちゃん [95点] [参考:1]

このレビューはネタバレを含みます

はっきり言ってこの作品は反則である。

今までのクレヨンしんちゃんのつもりで観ていると大人が号泣させられてしまい、恥ずかしい思いをするからだ。

今回のしんちゃんの敵はケンとチャコ(この名前がすでに懐かしい)が率いる秘密結社「イエスタディ・ワンス・モア」。

彼らの目的は未来に希望がない21世紀の世界を、誰もが希望に輝いていた20世紀に戻すことである。

そのため「20世紀博」を開催し、大人たちを懐かしい子供時代へと導いて行く。

この「20世紀博」は昭和40年代前後を模しており、本来なら「昭和元禄博」の方がふさわしいと思うのだが、さすがにそれでは語呂が悪いので「20世紀博」としたのだろう。

懐かしい昭和の匂いに惹かれた大人たちは家族も仕事も忘れ、ケンとチャコの元に集まって行く。

昭和の匂いに操られないしんちゃんたちは家族を取り戻すためにケンとチャコに戦いを挑むのだが…。

とにかく大人が観ると子供時代の懐かしい思い出が甦るアイテムが満載の作品である。

冒頭に登場するウルトラマンのようなヒーローや魔法使いサリーのようなヒロイン。

ラジオから流れてくるフォークソングは聴いただけでその時代に連れ戻してくれるタイムマシンだなと感じた。

敵の使う車はオート三輪にスバル360。そしてケンの魂とも言える愛車はトヨタ2000GT。

「20世紀博」の会場内に作られた町並みは、裕福ではなかったが誰もが優しかった時代を思い出させてくれる。

その懐かしいアイテムだけでも観ている大人の心を掴めるが、そこはクレヨンしんちゃん、ちゃんと子供にも受け入れられるようにお約束のギャグやおとぼけアクションも忘れてはいない。

だからこの作品を一緒に観た子供たちはなぜ大人が泣くのかわからないだろうが、子供たちよまだまだわからなくていいんだよ。

泣ける場面はいくつもあるが、やはり1番はしんちゃんがある特別なアイテムを使ってヒロシを元の大人に戻すところだろう。

その時にヒロシが見る子供時代から現在までのたくさんの思い出が、今の自分の人生と重なってしまい、知らず知らずのうちに涙が出てくるのだ。

実際に本作に出てくる「20世紀博」があれば、嫌な現実を忘れその世界に住んでみたいとも思ってしまった。

そう言えば昔の実家に鍵はなく、暑い夏の夜は窓を開けっ放しにして寝ていても平気だったのに、一体いつからこんな世の中になってしまったんだろうか。

だからこそ現実の21世紀を子供たちに希望が持てる世界にしなければならないと考えさせられる作品でもある。

2009/05/21 23:35 (2009/11/07 06:10修正)

kira

参考になりましたか?

これでレビュー100本達成ですね。おめでとうございます!まさかクレヨンしんちゃんで攻めてくるとは。昭和に育った人ならこれ絶対感動しますもんね。

シネマガ管理人 (09/05/22 01:23)

管理人さん、ありがとうございますm(__)m
100本目は何にしようかと考えていたら、ふっとクレヨンしんちゃんが思い浮かんだので一番好きな作品のレビューを書いてみました。
本当にこの作品は昭和に育った人なら泣ける名作ですね。

kira (09/05/22 17:52)