ジャイブ 海風に吹かれて
2008/日本/ダゲレオ出版/109分
出演:石黒賢 清水美沙 上原多香子 豊永伸一郎 山口馬木也 六平直政 北見敏之 石田太郎 十勝花子 諏訪太朗 川瀬陽太 大滝秀治 加賀まりこ 津川雅彦
監督:サトウトシキ
新しい海洋ラブロマンスアドベンチャー!!
陽射しを浴びてさまざまな表情を織り成すオホーツク海。
風を捉えて水面を滑走するヨット!!
こんなにも荒々しくも美しい海を描いた映画が近年あっただろうか?
雄大な北海道の海と大地を捉えた大迫力映像による感動が全身を駆け巡る!!
モントリオール国際映画祭2008招待作品に選出された、まさに映画館で観るべき映画!!
ありそうでなかった“大人の青春映画”
人生は勝ち組・負け組と単純に色分けされるものではないはず。青春時代のあの頃、本当にやってみたかったこと、そして今本当にやらなければならないことって一体何だろう?
多様な価値観と、あっという間に過ぎ行く日々に翻弄される現代人たち。そんな現代社会に生きる一組の男女が、北海道の雄大な自然の中で、お互いの空白を認め合う旅へと走り出す。人生は1隻のヨットに同じ。大海原の風をとらえて帆走し、時に荒波に揉まれたり、呑み込まれたり…。それでも航海の先には必ず太陽の耀きが待っている。夢を追うのに遅すぎることなんてことはないのだ。今まさに人生の第2章が始まる!!!!
豪華キャスト&スタッフ
いつまでも少年の心を忘れない主人公・哲郎を演じるのは、数々のドラマ・映画で幅広い役柄をこなす石黒賢。本作品のミューズ、高校時代の同級生・由紀役には、高い演技力と透明感あふれる美しさで幅広い年齢層に人気の清水美沙。厳格で口は悪いが息子への愛情を隠しきれない哲郎の父・繁三と、深い愛情で哲郎を見守る母・悦子を、津川雅彦と加賀まりこが好演。哲郎の部下・川原麻衣子役には、SPEED再結成で話題を集め、女優としても活躍中の上原多香子。さらに、大滝秀治、六平直政、北見敏之、山口馬木也、豊永伸一郎など、豪華実力派キャストが脇を固める。
監督は、89年に成人映画『獣−けだもの−』で監督デビュー以来、“ピンク四天王”のひとりとして数々の話題作を発表し、最近では『PERFECT BLUE 夢なら醒めて・・・』(02)、『ちゃんこ』(05)などの一般映画でも英才を魅せるサトウトシキ。撮影監督には、多くの名日本映画に携わり、近年では、マキノ雅彦監督作品 「次郎長三国志」(08)、「旭山動物園物語〜ペンギンが空を飛ぶ〜」(09)などがある加藤雄大。大規模な空撮とこだわりのカメラワークで、大地と人間の魅力を撮りきった。
そして、エンディング曲に、北海道足寄出身の松山千春が、本作製作陣の熱い思いを受けとめて、「ため息をつかせてよ」を提供。書下ろしではないものの、歌詞と旋律が作品に見事に合致し、観るものの感情を盛り立てる。
北海道全域でオールロケ
北海道の短い夏の麗しい情景、きらめく太陽、力強い大自然などを捉えるため、哲郎の故郷である江差を基点に、大規模な空撮を交えての撮影が敢行された。朝日に浮かび上がる積丹半島、天売島沖の満点の星空、海に聳え立つ利尻富士、神秘的な知床半島、青々と横たわる国後島、時化た津軽海峡などなど、大迫力映像を存分に味わうことができる。また、北海道最古のお祭りである江差の姥神大神神宮渡御祭や、幌内の産業遺跡など、郷土の魅力も満載。必見の逸作に仕上がった。
海道の里・江差町
江差は、函館のやや北西に位置し、日本海に面す。函館市、松前町と並び、北海道で最も早く開けた地域の一つ。江戸時代はニシンの漁場及び北前船によるヒノキアスナロなどの交易港で、「江差の五月は江戸にもない」といわれるほど栄えた。
「江差追分」は日本を代表する民謡の一つに数えられる。信州の馬子唄に起源があると考えられており、信州中仙道の馬子唄がまず越後に伝えられ、海の調べに変わり舟唄となって、越後追分が生まれたという。やがて蝦夷地通いの船頭衆や船子たちによって江差に運ばれ、浜子屋の中で商家の旦那衆、ニシン大尽、船頭衆が、酒と女の遊びの中で唄い伝えられてきた。1963年から江差追分の振興・継承を目的として,一年に一度毎年9月に,江差町で江差追分全国大会がひらかれている。本作では第29回江差追分全国大会で、17歳にして見事優勝した地元出身のKazumiが熱唱。人間の生きるエネルギーが伝わってくる歌声だ。
また、本作のかくれた見所のひとつでもある「姥神大神神宮渡御祭」は、起源を360有余年前にもさかのぼる蝦夷地最古のお祭りである。ニシンの豊漁への感謝を込めたというこの大祭は、はるか遠い江差のニシン景気を現代に伝えている。地元の多くの方々のご協力の下、実際の祭の開催中にロケが敢行され、臨場感漂う感動的なシーンが完成した。
☆Story☆
舞台は北海道・江差(えさし)。かつてニシン漁で栄えた歴史ある小さな港町である。
東京でIT企業を経営する哲郎(石黒賢)は、祖父のお葬式にも出られないほど多忙な日々を送っていた。だが、共同経営者の前島(山口馬木也)の裏切りに気が付いてしまう。折しも、亡き祖父(大滝秀治)の四十九日の法要があり、久しぶりに故郷・江差へと帰ることにした。
実家近くの港で、偶然、高校時代の同級生・由紀(清水美沙)に再会する。由紀は地元漁協で経理をする平凡な毎日を送っていた。再会した二人は酒を呑みつつ、20年前の思い出を懐かしく語り合う。その帰り道、由紀は、「いつか○○してやる!!」と夢をたくさん持って期待に胸を膨らませていた高校時代と現実との違いを寂しいとぼやく。由紀の「“いつか”って結局20年前に置いてきたまま」という言葉が、哲郎の忘れかけていたチャレンジ精神に火を点けた。
ヨット部だった哲郎は、「北海道を無寄港で一周する」ことを宣言し、かつて同じヨット部の部長で今は地元商店会副理事長の勇次(富永伸一郎)の協力のもと、早速おんぼろヨットの「カモメ二世」号の調整をはじめる。地元で生活の基盤を築いている仲間たちを巻き込みながら、哲郎の無謀な挑戦が始まる。
哲郎がヨットで船出したその頃、会社の部下の麻衣子(上原多香子)が、哲郎を訪ねて東京からやってきた。漁協で、由紀から、哲郎が北海道一周の船旅に出たことを知らされる。由紀と麻衣子は、お互いの哲郎との関係を訝しがりつつ、哲郎のヨットを追いかけるようにして、奇妙な二人旅を始める。哲郎のヨットでの冒険と、それを追いかけ見守る女たち。
哲郎のヨットは江差の港を出て北上し、宗谷に向かう。途中、積丹半島沖で時化に見舞われたり、定置網帯の隙間をすり抜けたりと波乱万丈。残念ながら、宗谷の濃霧にやられ、無寄港とは行かず稚内に寄港。そこで由紀に連絡して祖父の位牌を届けてもらう。じつは哲郎は国後に祖父の位牌を埋めるつもりだったのだ。位牌を受け取ったヨットは再び海面を滑りだす。哲郎の冒険は果たして達成されるのか。そして由紀の想いは叶うのか。北海道の大自然を背景に、現在の北海道が抱える避けては通れない問題、閉山した幌内炭鉱や北方領土などに触れながら、男と女の物語は意外な結末へと導かれていく。
2009年6月6日、シアター・イメージフォーラム、銀座シネパトス他にて全国順次ロードショー