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アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~

Antique
2008/韓国/ショウゲート/111分
出演:チュ・ジフン キム・ジェウク ユ・アイン チェ・ジホ アンディ・ジレ キム・チャンワン イ・フィヒャン ナム・ミョンリョル 
監督:ミン・ギュドン
原作:よしながふみ
脚本:ミン・ギュドン
http://www.antique-movie.com/

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170万部セールス
よしながふみの大ヒットコミック
「西洋骨董洋菓子店」韓国で待望の映画化!
   
魅惑的なキャラクターと、繊細な心情に焦点をあてた人間関係、描くテーマへの造詣の深さからカリスマ的な存在となっている漫画家よしながふみ。99年から02年に亘り、新書館発行のWingsにて連載され、現在までに170万部のセールスを記録している「西洋骨董洋菓子店」。01年にフジテレビでドラマ化され、08年には同局にてアニメーションとなった。韓国でも翻訳出版され、ロマンスコミックとして売り上げNO.1を記録し、ベストセラーとなっている。
未だ色褪せず支持され続けている、この大ヒットコミックが韓国で待望の映画化となった。

静かな住宅街に佇む趣ある洋菓子店‘アンティーク’。原作「西洋骨董洋菓子店」はここを舞台に、甘いものが苦手であるにも関わらず店を始めたオーナー橘圭一郎の過去のトラウマのエピソードが軸となり、天才パティシエであり魔性のゲイである小野裕介と、元ボクサーの見習いパティシエ・神田エイジ、不器用な橘の幼なじみ・小早川千影、登場人物それぞれの個性豊かなキャラクターが絡まりあってゆく。心に深い傷を負いながらも明るく振舞う4人の人間関係は次第に、辛くて悲しいことも起こり得る人生を肯定するような温かいメッセージを気負うことなく観る者に与えてゆく。更に美食家でもあるよしながの知識溢れるスイーツ描写の数々が物語に華を添え、魅力ある人物とミステリアスなエピソードを独特のバランス感覚で表現し、珠玉の人間ドラマを創り上げた。

本国では08年11月13日に公開し、同時期公開の『007/慰めの報酬』など大作を抑え、たちまち100万人を超える動員を記録して大きな話題を呼んだ。
日本のコミックが韓国で映画化されたのは、これまでに『オールドボーイ』『カンナさん大成功です!』などがある。そして、現在連載中の「大奥」(白泉社/MELODY)や「きのう何食べた?」(講談社/モーニング)でも高い評価と圧倒的な人気を得ている、よしながふみの作品として本作が記念すべき初の映画化となる。


新世代スターとなったチュ・ジフン、映画初主演!
美しく個性豊かなキャスト陣と気鋭のクリエイター
韓国映画の新たな可能性
   
ファッションモデルとして活躍した後、最高視聴率28.8%を記録したドラマ「宮〜Love in Palace」(06)で皇太子役を演じ大ブレイクを果たしたチュ・ジフン。続いて出演したドラマ「魔王」(07)では全く違うキャラクター、頭脳明晰で冷徹な弁護士役を演じ、更なる注目を浴びた。日本でも写真展が開かれるなど、既に高い人気を持つ彼の満を持しての映画初主演作となる。
そして、本作の重要な要素である美しい男たち、天才パティシエ・ソヌに「コーヒープリンス1号店」(07)に出演し、現在人気急上昇中の注目株であるキム・ジェウク、元ボクサーのギボムには若手演技派のユ・アイン、更にモデル出身のチェ・ジホがそれぞれの個性を発揮しながらも、テンポの良いやりとりで見事なアンサンブルを醸し出している。
また、フランス人パティシエ・ジャンをエリック・ロメール監督作品『我が至上の愛〜アストレとセラドン〜』(07)で主演に抜擢されたアンディー・ジレが好演し、異色なキャスティングが話題となっている。

監督と脚本を務めたのはデビュー作『少女たちの遺言MEMENTO MORI』(99/キム・テヨンと共同監督)でホラーというジャンルの中において、女子高校生同士の恋愛、いじめ、自殺など繊細な10代の心を美しく描き注目を集めたミン・ギュドン。既存のジャンルの中に新しい工夫を見出す才能に秀でており、続く『私の生涯で最も美しい一週間』(05)では複数のカップルの様々な愛をコメディタッチで表現しながらも、登場人物それぞれが持つ心の傷を描き話題となり、300万人の動員を果たす大ヒットを生み出した。商業性と芸術性を兼ね備えた監督であると評価される、注目のクリエイターである。
長らく映画化を熱望してきた本作でも4人の辛い記憶と癒しの過程をミステリータッチで描き出し、見事に原作の良さを凝縮した予想を超えるドラマに変貌させている。
新世代スターたちと新しい才能が集結し、韓国映画の新しい幕開けを予感させる作品が誕生した。

【あらすじ】   
   
甘いものが苦手なジニョク(チュ・ジフン)は、会社を辞めて‘女性客が多い’という理由で洋菓子店を開く。パティシエとなったのは、とびきり腕がいいにも関わらず働く店ごとに恋愛トラブルを起こしてしまう‘魔性のゲイ’ソヌ(キム・ジェウク)。元ボクサーで甘いものに目がないギボム(ユ・アイン)や、ジニョクの幼なじみのスヨン(チェ・ジホ)も加わり、‘アンティーク’での毎日が始まる。
しかし、多くの人が極上のスイーツと美しい男たちに魅了されてゆく中、町では連続誘拐事件が発生する。そして次第にジニョクの隠された過去が明らかになり始め、幼い頃の悲しい記憶が蘇える・・・。


【物語】
   
1997年・・・ 高校の卒業式に、ソヌはずっと想いを寄せていたジニョクに告白をする。勇気を振り絞って気持ちを伝えたソヌに対して、ジニョクはこう言い放つ。「ゲロしそーに気持ちわりーよ!!早く死ね、このホモ!!」そして、ジニョクはソヌの顔にケーキを投げつけた・・・。

2008年・・・ 突然勤めていた一流企業を辞めたジニョクは、洋菓子店を開くと家族に言い出した。甘いものが嫌いなはずなのにと、疑問に思う家族に彼は「女性客が多いから」と笑顔で冗談のような理由を伝える。

静かな住宅街にある古い骨董品屋を改装しての、洋菓子店‘アンティーク’の開店準備が始まった。
母親に紹介されパティシエを面接することになったジニョクは、その人物に会って驚きを隠せない。現れたのはかつて自分がこっぴどく振った同級生のソヌだったから。パリで修行し、一流パティスリーを渡り歩いて来たソヌだが、一緒に働くすべての男性との恋愛トラブルが耐えず、どこも長続きしないほどの‘魔性のゲイ’だった。しかし、ジニョクがかつて自分を振った唯一の人間であることが判ったソヌは、安心して‘アンティーク’で働き始める。

若くして驚異の天才ボクサーと名高かったギボムだが、網膜はく離でボクサー生命が断たれてしまう。彼が1番に好きなのはボクシング、2番目に好きなものが洋菓子だった。ソヌの作るスイーツに涙を流すほど感動したギボムは、「弟子にして欲しい」と懇願。可愛い女の子を雇いたいと思っていたジニョクを尻目にソヌは快諾する。更に、ジニョクの家で働いていた家政婦の息子で幼なじみの極度に不器用なスヨンがウェイターとして加わり、‘アンティーク’での騒がしくも楽しい毎日が始まる。

驚く速さでジニョクが洋菓子に関する知識を身につけてゆくのと同時に、ソヌが創り出す素晴らしいスイーツの数々が、町の人たちを魅了し始める。‘アンティーク’が評判の洋菓子店へとなってゆく中、町では子供を狙った連続誘拐事件が起り出す。それは徐々にジニョクの心に秘められた悲しい記憶を思い出させることになる。
10歳の誕生日を前に、2ヶ月間誘拐されたことがあるジニョク。恐怖でほとんどの記憶がなくなっているが、ずっとケーキを食べさせられていたことと、犯人が男だったことは覚えている。犯人は捕まらないまま、恐怖の記憶は今でもジニョクの夢に現れ、彼を苦しめているのである。

パリから超一流のパティシエ、ジャン(アンディー・ジレ)がやってくる。かつて恋愛関係にあったソヌをパリのホテル・リッツへスカウトしに来たのだ。軌道に乗ってきた‘アンティーク’に緊張が走る。

誘拐事件に進展があった。殺された少年の体から‘アンティーク’の商品が検出されたのだ。警察はジニョクに捜査の協力を要請する。

「美味しいケーキ屋を開こう
 ケーキ好きのあの男が 遠くからでも来たくなる店を
 遅くまで明かりは消さない
 世界が寝静まっても 起きている1人のために
 小さな店を作ろう
 あの男がケーキを食べるのを見逃してはならない
 歳や性別、職業に関係なく
 誰もが気軽にケーキを買える店を
 年老いた男性が いつでも入れる店を
 そう決心したのは・・・ すべては この瞬間を待っていたから・・・」

ソヌは‘アンティーク’を出て、パリに行ってしまうのか。
連続誘拐殺人事件の犯人、そして、
かつて自分を誘拐したあの男は現れるのか。

ジニョクが悪夢を見ずに眠れる日は来るのだろうか—。

4月18日(土)、恵比寿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町1丁目ほか全国ロードショー!