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Flightplan
2005/アメリカ/ブエナビスタ/98分

出演:ジョディ・フォスター ピーター・サースガード ショーン・ビーン 
監督:ロベルト・シュヴェンケ

偏差値:52.6 レビューを書く

「フライトプラン」とはなんぞや [50点] [参考:1]

このレビューはネタバレを含みます

さて、この作品。不穏なベルリンの寒空から始まるすべりだしは、大変好調です。重苦しい映像がジョディ・フォスター演じるカイルの苦悩をよく現していて、ミヒャエル・バルハウスのカメラは緊張感にあふれています。夫の死とあいまって、これから起こる事件を予想させるなかなか良い序盤です。
ところが、娘ジュリアが忽然と姿を消してからのプロットが…。この作品は『高度1万メートル上空での密室サスペンス!』という謳い文句なのですが、残念ながら謎解きの部分は設定に無理がありましたね。真犯人が早々にわかってしまうのも腰砕けで。
これで、ショーン・ビーン演じるリッチ機長が裏ですべての糸を引いている黒幕だったというのでしたら、脚本もそんなに苦しくならなかったのではないでしょうか(笑)。映画館でご覧になった方の評価はまちまちだったようです。私個人の感想も、結局、どんくさい犯人だよなあ…程度にしかならなくて。動機が金というのはいいのですが、なぜカイル親子を狙ったのかがイマイチ説得力に欠けてしまいましたね。緊急着陸した後の演出がもたつくため、カイルと真犯人カーソンの一騎打ちも間延びしています。ここで、今まで蓄積してきたせっかくの緊張感が一挙にダウンするんですよね。
ジョディの熱演を評価するむきもありますが、こんなの彼女の本領じゃない。彼女は聡明でキャリアもあるのに、どうしてこの脚本の欠陥に目をつぶる気になったのか理解できません。おまけに、ジュリア捜索の過程で、カイルはアラブ系の乗客に無実の罪を着せようとするんですよ!子供がいなくなってパニックになる気持ちはよくわかるけど、それは人間としてやっちゃいけないことでは。こんなキャラクターに観客は共感するんでしょうかね。自分さえよければ、他の人間の命を危険にさらしても許されるという。9.11テロ以降のアメリカ人の傍若無人ぶりが伺えて、とても嫌な気持ちになります。
でもまあ、全米で興行成績4週連続第1位を記録したところをみると、アメリカ人はカイルに深く共感を寄せたのでしょうね。

2008/05/13 11:11

豆酢

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