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2004/日本/松竹/131分
出演:永瀬正敏 松たか子 吉岡秀隆 小澤征悦 田畑智子 高島礼子 光本幸子 田中邦衛 倍賞千恵子 田中泯 小林稔侍 緒形拳 
監督:山田洋次

偏差値:60.5 レビューを書く

永瀬正敏がすばらしい! [85点] [参考:1]

このレビューはネタバレを含みます

永瀬正敏の侍としての佇まいというか雰囲気がすばらしい。日本に数少ない映画俳優の一人なだけに、この辺りはさすがです。
東北弁も全く違和感なし。ラストの晴れ晴れとした表情が印象的です。

ヒロイン役の松たか子もよかった。前作の「たそがれ~」の宮沢りえもそうですが、こういう「和風」が似合う女優っていいですね。

吉岡秀隆も出てます。侍役というのはあまり見ないですが、なかなかいいですね。あの頼りなさげ~な感じが僕は好きです。
相変わらず演技は上手いですね。神戸浩と一緒に鶏を追っかけている姿が面白かったです。

まさか鬼の爪が、あんな技だったとは。油断してると見逃してしまうくらい一瞬の技です。
緒方拳の悪役っぷりも見事でしたね。あまり悪役って見たことがないので、とても新鮮でした。

片桐宗蔵と小澤征悦演じる狭間弥一郎の決闘シーンもなかなか迫力ありました。片桐が勝利するわけだけど、刀で勝ったわけではなく
小林稔侍演じる大目付の尾形が送り込んだ鉄砲隊による決着という所が切ないんですよね。
この時の片桐の『無念だろうな~』というセリフが全て物語ってます。狭間と妻の墓に、鬼の爪を埋める片桐。もう二度と使われる事はないんでしょうね、この技は。

西洋式の戦い方を教えるために江戸から来た教官が面白かったな~。エリート丸出しで最初は嫌な感じの奴だけど、どこか憎めないんですよね。
ラストでは最初は行進とか全く出来てなかった足軽の人たちがすごい上手くなっていて、はるばる東北まで来た甲斐があったってもんですね。

この映画で分かった事は山田洋次監督は相変わらず永瀬正敏や吉岡秀隆などの俳優を使うのが上手い監督だという事と田中邦衛ほど頑固オヤジが似合う俳優はいないという事。
『飛び道具なんて!侍は刀だ!』と言い切ってます。時は幕末。西洋のものが次々と日本にやってきて開国だ、何だのと大騒ぎした時代ですからね。

片桐は最後は侍を捨て蝦夷に行くわけですが、その蝦夷でも結局は戦争が起きてしまいます。片桐ときえはどうなったんでしょうね。

やっぱり幕末は深いわ。

2009/02/07 17:23 (2009/02/08 00:40修正)

tochiro

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