宮廷画家ゴヤは見た
Goya's Ghosts
2006/アメリカ・スペイン/ゴー・シネマ/114分
出演:ハビエル・バルデム ナタリー・ポートマン ステラン・スカルスガルド ランディ・クエイド
監督:ミロス・フォアマン
http://www.goya-mita.com/
2度のアカデミー賞に輝くミロス・フォアマン監督が
スペインの天才画家ゴヤの目を通して、
人間とは、愛とは何かを描く感動作!
天才画家ゴヤが描いた2枚の肖像画──天使のように清らかな少女イネスと、威厳に満ちた神父ロレンソ。まさか、作者のゴヤでさえ予想しなかった。違う世界に生きる2人が、危険な愛に踏み込むとは──。
時は18世紀末から19世紀始め、動乱のスペイン。ゴヤは国王カルロス4世の宮廷画家に任命されるが、一方で貧しい人々を描き、権力や社会を批判する絵画や版画を制作していた。彼にとって絵筆は、人間の真実を見つめる目であり、悪を暴く武器なのだ。ある日突然、ゴヤの大切なミューズであるイネスが、ロレンソが指揮する異端審問所に囚われる。ロレンソは神に仕える身でありながら、密かにイネスの美しさに心を奪われてしまう。彼女を救おうとしたゴヤが見た、驚くべき“真実”とは──?
監督は、『カッコーの巣の上で』『アマデウス』で、2度のアカデミー賞監督賞に輝く巨匠ミロス・フォアマン。フォアマン監督は、人間の真の姿を見極めようとするゴヤの目を借りて、神父と少女のスキャンダラスな愛の行方を見つめた。彼らの数奇な運命を追いかけるうちに、やがて人間の真実と愛の本質にたどり着く感動の物語、それが『宮廷画家ゴヤは見た』である。
今最も注目されるオスカー俳優とハリウッドのトップ女優の華麗なる競演!
ロレンソ神父には、『ノーカントリー』で本年度アカデミー賞助演男優賞を獲得したハビエル・バルデム。愛と欲望に身を堕としていくロレンソを、単なる悪人ではない魅力的な人物に創り上げることに成功した。
イネスを演じるのは、ナタリー・ポートマン。『クローサー』でアカデミー賞にノミネートされた確かな演技力と、『スター・ウォーズ』3部作などの大作で魅せる華やかな存在感で、今やハリウッドのトップに躍り出た若手女優の代表格だ。無垢な少女が、無実の罪で囚われて心を壊されながらも、命ある限り愛に生きようとする姿は、観る者の胸を打たずにいられない。ゴヤに扮するのは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのステラン・スカルスガルド。
2008年秋、天才画家ゴヤが、あなたの目を開く──!
STORY
それは、立ち入り禁止の、愛──
出逢い──天使の微笑みを持つ少女
スペイン最高の画家と讃えられ、国王カルロス4世の宮廷画家に任命されたフランシスコ・デ・ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)。芸術家としての最高位に上りつめた彼はしかし、王妃の肖像画を描く以上の情熱で、貧しい人々を描き、腐敗した権力者を攻撃する版画を制作していた。
1792年、マドリード。ゴヤが今、描いているのは、2枚の肖像画。1枚は、天使のように無垢な少女、イネス(ナタリー・ポートマン)。裕福な商人トマス・ビルバトゥア(ホセ・ルイス・ゴメス)の娘で、ゴヤとは家族ぐるみの友人だ。もう1枚は、初めて依頼されたロレンソ神父(ハビエル・バルデム)。神父はゴヤのアトリエで見た、絵の中のイネスの美しさに心を動かされる。
欲望──無実の罪で囚われた少女
カトリック教会は、国王の監督の下、異教徒や無神論者を罰する権限を持っていたが、近年ではほとんど機能していなかった。教会の力を復活させようというロレンソの提案で、異端審問が強化されることになる。
突然、イネスが審問所から出頭命令を受ける。居酒屋で豚肉を嫌がったために、ユダヤ教徒だと疑われたのだ。トマスに頼まれたゴヤはロレンソに、肖像画の代金と修道院の修復費を引き換えにイネスの解放を願う。
ロレンソが異端審問所を訪ねると、イネスは既に拷問を受けていた。彼は、脅えるイネスを慰めるうちに欲望に負け、彼女を強く抱きしめるのだった。
告白──異教徒と認めた少女と、サルだと認めた神父
トマスは屋敷での豪華なディナーに、ロレンソを招待する。和やかに始まったその席で、イネスが拷問に耐えかねてユダヤ教だと嘘の告白をしたと知った家族とゴヤは、激しいショックを受ける。裁判にかけるというが、認めたからには釈放はあり得ない。
罪がなければ、痛みに耐える力を神がお授けになる──そんな教会の愚かな主張を覆すべく、トマスはロレンソを天井から吊るし、自分はサルだという告白書にサインさせる。娘が戻れば、すぐに燃やすと約束して……。
しかし、異端審問所長(ミシェル・ロンズデール)は非情だった。寄付金はありがたく受け取るが、教会の権威のために例外は認められないというのだ。
別れ──動乱のスペイン、激動の運命
イネスが戻る気配はなく、トマスはロレンソの告白書をカルロス4世に託す。ロレンソは国外へ逃亡、人々の前から姿を消す。イネスは、自分に逢うために度々やって来るロレンソだけが頼りだったが、その日を境に外界との繋がりが途絶えてしまう。
1793年、時代は今、大きな転換期に突入していた。フランスでは革命が起こり、カルロス4世の従弟に当たる国王ルイ16世と、王妃マリー・アントワネットが断頭台に消えた。
再会──翼が折れた女と、魂を売った男
それから、15年──。革命後、フランス皇帝となったナポレオンは絶頂期を迎え、ヨーロッパ中を侵略していた。スペインの内紛にも介入し、自分の兄ジョゼフをスペイン国王に任命、絶大な権力を掴む。ゴヤは病で聴力を失くしつつあったが、相変わらず世の中の真実だけはハッキリと見えていた。「自由・平等・友愛」を旗印にしながら、そのスローガンの陰でスペインの民衆を虐殺するナポレオン軍の正体は、占領者でしかないと──。
遂にゴヤは、片時も忘れたことのないイネスと再会する。異端審問が廃止され、囚われた人々が解放されたのだ。しかし、15年の歳月は、天使から輝く翼をもぎ取っていた。一方、ロレンソはナポレオン政府の大臣となり、意気揚々と帰国する。
イネスの口から発せられた、驚くべき言葉。
真相を確かめるために、ロレンソを訪ねるゴヤ。
今、愛の裏側が、暴かれようとしていた──。
2008年10月4日、スバル座・渋谷東急・新宿ミラノ他全国ロードショー