Little Women
1933/アメリカ
出演:キャサリン・ヘプバーン ジョーン・ベネット フランシス・ディー ポール・ルーカス ジーン・パーカー
監督:ジョージ・キューカー
(データベース登録者:ちりつも)
偏差値:63.5 レビューを書く
少女から大人へ [96点]
このレビューはネタバレを含みます
ルイザ・メイ・オルコット原作の映画化。
映画化は3本、他に1949年に、マービン・ルロイ監督、ジョー役(ジューン・アリスン)三女ベス役(マーガレット・オブライエン)四女エイミー役(エリザベス・テーラー)等が出演していた。
又、近年?では1994年ジリアン・アームストロング監督で、ウィノナ・ライダー(ジョー役)、クレア・ディンズ(ベス役)、スーザン・サランドン(母親役)もあった。
こうして見ると、毎回「若草物語」は素晴らしいキャスティングで映画化されている。
この3本でキューカー版が一番好き。
やはりジョー役のキャサリンがぴったりだったから。
作家を夢見ている男の子のように活発なジョー。
少女特有の我がままも持ち合わせている。
ジョーはいつまでも4人姉妹の中で、頼られる男役を演じていたいが、長女のメグは、ローリーの家庭教師ブルック先生と仲良くなっていく。
お転婆娘ジョーにとってはいい気分ではない。
男女の恋愛は、まだまだ現実の世界ではなくて自分が描く、本の中のお話だけにとどめたい。
しかし、メグはブルック先生と結婚し、ジョーは少女時代の終わりを告げられてしまう。
この時の切なく寂しいジョーの顔、キャサリンの表情がなんどもいえない。
そして、幼なじみのローリーまでが、ジョーに愛の告白をする。
いつまでも2人して、子供の時のように森を駆け回っていたかったのに「ああ、ローリー、あなたもか!」って心境かな。
子供と大人の中間のジョーにとって、ローリーが好きでも、男性として見れないのだろう
男女間の愛を毛嫌いしていたのかもしれない。
でもさ、ローリーはずっとジョーが好きだったのに、あ~もったいない!という気がした。
だが後半、ジョーはNYに行ってベア教授と出会い彼に惹かれていく。この辺りがなんともリアル。
ジョーの期待と不安の入り混じったNYで出会ったためなのか、穏やかで思慮深いベアに、ジョーは惹かれてしまう。
正直いって私はベア教授よりも、ローリーの方がヒロインの王子として再度、登場してほしかったな。
ローリーの若々しさ、ジョーに対する一途さに魅力を感じたから。
そしてローリーは最終的には4女のエイミーと結婚してしまう!
ここが、この映画のおとぎ話ではないところ。
「若草物語」はジョーが主役だけど、四女エイミーは姉のジョーに敵対する仇役のポジションにいる。
エイミーはジョーが行きたかった叔母とのヨーロッパ旅行も、ジョーにぞっこんだったローリーも結果的には奪ってしまう。
まあ、ジョーの我がままから招いた結果だけど、作品を見る限り、その時のジョーの落ち込みと哀しさは、エイミーと対比させている。
美人で勝気、気取りやのエイミーは、女性側からは余り好かれないタイプ。
ジョーは、可憐ではにかみ屋のベスは大好きだけど、エイミーとはケンカばかり。
この辺も「若草物語」の現実的な面白さだと思う。
たとえ姉妹でも、時には一人の男性を巡って争うこともあるのだと。
ただ、ジョーとエイミーは、そこまで険悪にはしていない。マーチ家の清らかな風習の作風で、結果として運命がそうさせてしまった、という爽やかさだ。
ローリーもジョーの良き弟、となって幕が閉じる。
私の好みでは、3本の映画で一番、エイミー役が似合うのはルロイ版のエリザベス・テイラー、ベス役はマーガレット・オブライエン、ローリーは近作のクリスチャン・ベール!
この頃からクリスチャン・ベールは悩み多き役は上手かったなぁ~。
2008/09/27 12:41