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帰らない日々

Reservation Road
2007/アメリカ/ブロードメディア/102分
出演:ホアキン・フェニックス ジェニファー・コネリー マーク・ラファロ エル・ファニング ミラ・ソルヴィーノ 
監督:テリー・ジョージ

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アカデミー賞スター競演、渾身の演技が魂を揺さぶる感動作!

『ホテル・ルワンダ』のテリー・ジョージ監督が、今を生きる私たちに突きつける愛と復讐の物語。

 最愛の家族を突然の事故で奪われた時、我々はどんな想いを抱くのだろう。その悲しみに終わりはあるのだろうか。その苦しみを癒すには、復讐しかないのだろうか・・・?
 2度のアカデミー賞ノミネートに輝く名匠テリー・ジョージが、アカデミー賞3部門にノミネートされた『ホテル・ルワンダ』の次に選んだプロジェクト、それが本作『帰らない日々』だ。
 原作は1998年に出版されたジョン・バーナム・シュワルツによる同名小説。ニューヨーク・タイムズ紙でその年の注目すべき本に選ばれ、ロサンジェルス・タイムズ紙で"圧倒される奇蹟のようなダークな物語、胸が張り裂けるようなスリラー"と絶賛された怒りと復讐、偉大な勇気についての感動的でドラマティックな物語だ。

 9月の暖かいある夜、大学教授のイーサン(ホアキン・フェニックス)一家は最愛の息子を突然の事故で失ってしまう。妻のグレース(ジェニファー・コネリー)、一人残された娘のエマ(エル・ファニング)それぞれが、事故は自分の責任だと思い込み、哀しさのあまり家族の心は離れ離れになっていく。遅々として進まぬ警察の捜査に業を煮やしたイーサンは弁護士に調査を依頼する事を決意。小さな町の弁護士事務所を訪ねると、事件を担当する事になったのは、ひき逃げ犯人ドワイト・アルノー(マーク・ラファロ)その人だった。事故をきっかけに崩壊していく2つの家族、2人の父親。互いの運命が交錯する時、思いもよらない結末が2人を待っていたのだった・・・・・。

 主演のイーサン・ラーナーにはアカデミー賞ノミネートに輝くホアキン・フェニックス。悲しみと憎悪がやがて狂気に変わる様を見事に演じ、新境地を開拓。妻のグレース・ラーナーにアカデミー賞受賞のジェニファー・コネリー。ラーナー家のたった一人の生き残りの娘を演じるエル・ファニングの名演が涙を誘う。対する事故を引起こす弁護士ドワイトに『死ぬまでにしたい10のこと』のマーク・ラファロ。離婚した妻にアカデミー賞受賞のミラ・ソルヴィノがそれぞれ扮し、映画を盛り上げている。製作は『ホテル・ルワンダ』に続いてテリー・ジョージ監督作品のプロデューサーを勤めるA・キットマン・ホーと『ファウンテン 永遠につづく愛』、『25時』のニック・ウェクスラー。マーク・アイシャムの哀切なメロディが痛ましい物語を美しく彩っている。

 9.11以降のアメリカ人にとって、'復讐'はとても個人的な意味を持つ。「現在のポスト9.11の世界で、'目には目を'という事を映画を通じて検証したかったんだ。普段テレビで目にしている '復讐'という名の戦争が、個人的なレベルで自分の身に降りかかってきたら、どうなるのか?―――観客は皆、こう考えずにはいられない"あの父親たちのいずれかの立場になったら、自分はいったいどうするだろう?"とね。」と監督のテリー・ジョージは語っている。もし、究極の悲劇が、我が身に起こっら・・・・我々は自分の人生や家族、そして世界そのものを愛し続ける事が出来るのだろうか。連日の痛ましい事件の報道を観ても、本作『帰らない日々』は決して他人事では無い。しかし、怒りや恐怖に駆られて自分自身を見失うこと無く、悲しみと共存する中で、"再生"と言う名の希望が見えてくるはずなのだ。この映画の主人公達のように。

7月26日(土)シャンテシネほか全国順次ロードショー

帰らない日々 (作品紹介) 

これはひき逃げについて描いた『ホテル・ルワンダ』のテリー・ジョージ監督によるスリラー映画だが、一般にありふれたスリラー映画とは趣が違っていて、被害者と加害者の心理が痛いほど...