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キングコング

King Kong
1976/アメリカ/135分
出演:ジェシカ・ラング ジェフ・ブリッジス チャールズ・グローディン 
監督:ジョン・ギラーミン

偏差値:60.7 レビューを書く

我が愛すべきキングコング [90点] [参考:2]

※ネタバレを含むレビューです。
キングコングはこれまで3回映画化されている。

1933年のオリジナル版、2005年のピーター・ジャクソン監督版(P版)、そして1976年のジョン・ギラーミン監督版(J版)である。

世間ではこのJ版コングの評価が最も低いが、誰が何と言おうと私はこの作品が好きなのである。

確かに本作のコングは着ぐるみだし、合成は粗いし、実物大のコングが大暴れと誇大広告していたロボットコングも映画では突っ立って手を上げるだけのチープなものであるが、それでもこの作品が好きなのである。

なぜならJ版コングはストーリーの進め方がハッキリとしていて分かりやすいからである。

髑髏島に向かう目的が油田の採掘でその途中で漂流中の美女ドワンを助ける以外はほぼオリジナル版と同じである。

しかしオリジナル版やP版にはないコングをニューヨークまで船で運ぶ場面がちゃんと描かれているし、今はなき世界貿易センタービルにコングが登る理由も分かるようになっている。

またコングをニューヨークに連れてきた張本人がJ版ではちゃんとコングに踏み潰されてその報いを受けるのもいい。他の2作ではまるで他人事のように「コングを倒したのは美女だ」みたいなことを言って終わるのがどうも納得がいかず、「一番悪いのはお前だろオマエ。」と突っ込みを入れたくなる。

ドワンを見つめるコングの優しそうな目や悲しそうな目、そしてちょっとHぽい顔つきも本作のコングが一番である(猿の魔術師、リック・ベイカー自らがコングを演じてるのだから当然と言えば当然なのだが。)

最大の違いはビルから落ちたコングがすぐには死なず、心臓の音が徐々に弱まって最期を迎えることである。泣きながらドワンがコングの最期を見取る場面は号泣ものであり、コングへの愛を感じる。

まぁそんな訳で世間の評価がどうであろうと、私はJ版キングコングが好きなのである。

なお1986年になってジョン・ギラーミン監督は、こん睡状態で生き延びていた本作のキングコングに人工心臓を取り付けて蘇えらせ、ボルネオで捕獲したレディコングとくっつけるという暴挙に出た「キングコング2」を作ったが、何でこんなものをといった出来で、全くお薦めできない代物である(ハァ~…)

2008/10/31 23:16 (2009/11/07 06:27修正)

kira

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コメント1件

週刊シネママガジン Mail (Vol.159) 

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