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Death Trap
1982/アメリカ/116分
出演:マイケル・ケイン クリストファー・リーヴ ダイアン・キャノン アイリーン・ワース 
監督:シドニー・ルメット
製作:バート・ハリス
製作総指揮:ジェイ・プレッソン・アレン
原作:アイラ・レヴィン
脚本:ジェイ・プレッソン・アレン
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
音楽:ジョニー・マンデル

(データベース登録者:frost

偏差値:61.0 レビューを書く

きらりと光る映画的な演出。これは意外な傑作。 [90点] [参考:1]

このレビューはネタバレを含みます

意外な傑作ってそんなに出会えるものじゃありませんが、これは間違いなく傑作。

アイラ・レヴィン原作の舞台を映画化。下り坂の大物劇作家シドニー(マイケル・ケイン)は、新作も散々で自暴自棄になっている。そこに昔の教え子クリフ(クリストファー・リーブ)からシナリオが届くが、これが完璧な出来であることから、シドニーはクリフを殺しシナリオを自分のものにしようとする。ストーリーはその後二転三転してテンポが良く、意外な展開は最後まで緊張感を切らせません。

映画の舞台はシドニーの自宅のみ、登場人物は4人だけと、構成はいかにも舞台劇ながら、その視線は間違いなく映画の視線。特に、シドニーがクリフを電話で呼び寄せるシーンは、電話で話しながらぐるぐる円を描いて歩き回るシドニーを円の中心から撮影。心配そうな妻マイラの姿が一周毎に写ります。シドニーの会話の内容から彼の真意を探ろうとするマイラの表情が1周ごとに変化していく大変面白いシーン。また、舞台小道具を見せるフリをしてクリフに手錠をかけたシドニーと、危険を察知して牽制するクリフ。成り行きを見守るしかないマイラ。クリフ殺害をこの三人のクローズアップでつないで見せるシーンも実にサスペンスフル。要所要所に映画的ドラマチックさを盛り込む手腕に感心します。

役者では、クリストファー・リーブが少し意外な発見。うまいんですよね。本作の1982年は『スーパーマン2』 (81)と『スーパーマン3』(83)の間の年で、スーパーマン人気が次第に下降に向かっていくころ。その後、スーパーマンとともにクリストファー・リーブも人気がなくなってしまいます。脱スーパーマンを模索していましたが、1995年に落馬事故で全身不随に。奇跡的な回復が見込まれた2004年に心臓麻痺で急死。これだけ良い役者だったのにツキがなかったとしか言えません。残念なことです。ちなみにマイラ役のダイアン・キャノンはあの名優ケーリー・グラントの元奥さんです。

2008/05/10 10:44

frost

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