ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


1979/日本/100分
出演:山田康雄 小林清志 納屋悟朗 井上真樹夫 増山江威子 島本須美 石田太郎 永井一郎 宮内幸平 
監督:宮崎駿

偏差値:62.4 レビューを書く

冒険活劇「ルパン三世」 [95点] [参考:1]

今は世界の宮崎となった宮崎駿監督の劇場映画第1回監督作品である。

ストーリーはしごく単純で、悪者に捕われたお姫様をルパンが助けに行くだけの話であるが、単純だからこそ誰もがハラハラドキドキと物語の世界に入って行けるのである。

前作の「ルパン三世」(後年「ルパンvs複製人間」のサブタイトルが付けられた)の大人向きの作風からガラッと変わり、TVの第1シリーズの後半的な年齢層を問わない作品に仕上がっているのもいい。

何度見直してもこの頃の宮崎駿の作品は素朴で良かったなぁと感じてしまう。

誤解のないよう付け加えると現在の宮崎作品を否定している訳ではなく、初期の宮崎作品は監督の主義主張をあまり表に出しておらず、単純に観て面白い作品であると言う意味である。

映画は生き物なのだからむしろ監督の年齢とともに作風が変わっていくのは当然であるが、単に私が初期の宮崎作品が好きなだけである。

ストーリーは今更ここに書くまでもなく有名(と私は思っている。)であるが、ルパン三世ならではの小粋な台詞と時折見せる「未来少年コナン」を思わせるような動きが実に楽しい。

ここで忘れてならないのが「未来少年コナン」でコンビを組んでいた大塚康生が作画監督として本作に参加していることである。

現在は宮崎監督の名前ばかりが強調されているが、この作画監督がいたからこそ本作がより面白くなったのではないだろうか。

本作の好きな場面や好きな台詞はたくさんあるが、1つ選ぶならTVの特番でよく紹介される銭形警部のラストの台詞、ではなく、その前のルパンとクラリスの別れのシーンである。

「泥棒はまだ無理だけどきっと覚えます。」と言うクラリスを思わず抱きしめようとして、背中にまわした両手をやっとの思いでクラリスの肩におき「な~に言ってるんだい。・・・・・」と続くルパンの優しい言葉は何度観ても泣けてくる。

私の中では「ローマの休日」のラストと同じくらい切なくて胸が痛くなる名場面である。

2008/11/12 23:37 (2009/11/07 06:25修正)

kira

参考になりましたか?

この映画のレビューをまとめて表示する