1998/日本/67分
出演:松たか子 田辺誠一 留美 加藤和彦 藤井かほり 石光研 江口洋介 石井竜也 伊武雅刀 松本幸四郎 市川染五郎 藤間紀子 松本紀保 塩見三省 津田寛治
監督:岩井俊二
脚本:岩井俊二、撮影:篠田昇、美術:都築雄二・亀田潔・荒木謙一、編集:岩井俊二、音楽:CLASSIC、助監督:行定勲
(データベース登録者:kira)
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四月の優しい奇跡 [80点]
北海道から進学のために上京した女子大生の初めての独り暮らしの戸惑いと誰にも秘密にしていた進学の理由を優しく描いた岩井俊二監督作品です。
60数分と短い作品ですが岩井監督らしい温かな映像と音楽に溢れていて、女子大生に訪れる出来事に観ているこちらも嬉しくなります。
松たか子の初主演作品ですがその初々しさがいいですね。上京する時に駅で見送る家族が松本幸四郎や市川染五郎など松たか子の実際の家族なのも微笑ましいです。
東京へ旅立つ場面は決してべたべたしたものではなく、ちょっと面倒くさそうに照れながら手をふる兄や駅員から声をかけられて父親が話しているうちに列車のドアが閉まって発車してしまうのが何ともいい雰囲気です。
初めてこの作品を観たときは、やかて娘もああやって親元を離れていくのかと寂しくなりましたが、独り暮らしをする主人公の喜びや戸惑い、大学での生活などを父親の目線で見てしまうのは娘を持つ者の宿命でしょうか(笑)
短い作品なのに映画の中の映画館で上映される『生きていた信長』がなかなか凝った作りで、これだけを別の映画として観たくなりました。(DVDには特典映像として『生きていた信長』の全編が収録されていました。)
本編の優しさと劇中の時代劇の謎と殺陣がいいコントラスとなっていて、岩井監督の元でそれぞれの役者さんが楽しんで作ってるのが伝わる作品でもありますね。
最近は映画や舞台の話題作への出演が多く演技派になっている松たか子です、だからこそ今では観ることのできない初々しさが光るこの作品をぜひ観てもらいたいですね。
2011/01/25 23:42