Senna
2010/アメリカ/東宝東和
監督:アシフ・カパディア
http://senna-movie.jp
偏差値:61.5 レビューを書く
Good Bye, アイルトン・セナ [90点] [参考:1]
アイルトン・セナのF1ドライバーとしての生涯をまとめたドキュメンタリー作品。
この映画を観るにあたり、多少のF1の知識はあった方がより楽しめる作品となっています。
ロン・デニス, フランク・ウィリアムス, アクティブサスペンション, トラクションコントロール などの言葉を聞いて、???という人は少し置いていかれるかもです。技術的なことやF1界の人間関係はある程度知っていることが前提という作品づくりになっています。
1984年 F1ドライバーとなったセナがトールマン(当時弱小チーム)時代に見せた、モナコGPでの劇走から始まります。
昔のモデルのマシンがズラリと並び、雨のモナコGPを劇走するレースは映画にグッと引き寄せられます。当時のオンボード映像は迫力満点!ギアを変えるためコーナーの度に右手をスアリングから離す仕草は今となっては懐かしい。細かいコクピット内の構造を知っていれば、それだけでも十分にワクワクします。
その後、マクラーレンへ移りアラン・プロストとの確執を描く場面は非常にリアルに仕上げられています。通常は放映されないドライバーズミーティングなどはファンにはたまらないはず♪
アラン・プロストはセナ側から見ると悪役だけど、あそこまで悪役っぷりを全面に押し出さなくてもという感じはします。プロストとセナは実はライバル関係にあっただけで、関係は良好だったんですけどねぇ。。
それでも、F1がたんなる純粋カーレースではなく、政治・金 を巻き込んだ黒い世界だという事実を知るのには十分です。
セナはブラジル国民のため, 家族のため, そして何より自分自身のために走りました。
彼がレースを愛し、レースで1着になるために全身全霊で取り組んでいることが分かります。
苦しみもがきながら3度のワールドチャンピオンシップに輝くセナの走りはきっと心に響くはずです。
そして、1994年 サンマリノGP イモラサーキット・タンブレロコーナーへ…
サンマリノGPでのセナのオンボード映像には全身が震え、心臓が締め付けられます。吐き気さえ感じました。。
オンボード映像はタンブレロコーナーでステアリングを僅かに左を切ったところで終わっています。その後の大クラッシュ…
事故原因はステアリングコラムシャフトの破損と言われていますが、このあたりを追求する映像はありません。
彼は誰よりもレースを愛し、誰よりも速く走ることを望んだことは明らかです。
スポーツマンとして、人間として、常に最高の結果を出せるようひたすらに努力した人でした。
男として憧れでもあり、理想でもある生き方だと思います。
最も印象に残るシーンは、生涯の一番の思い出のレースをインタビューに答えるシーン。
F1でのレースではなく、カート時代の純粋に一番を競い合ったレースを答えます。
F1という巨額なマネーがうごめく世界で、純粋にレーサーとしての追求をやめなかった偉大なレーサーの冥福を祈ります。
連想作品:
「チェ 39歳別れの手紙」(なぜかゲバラのことを想ってしまった)
2010/11/15 14:31