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シンドラーのリスト

Schindler's List
1993/アメリカ/195分
出演:リーアム・ニーソン ベン・キングズレー レイフ・ファインズ 
監督:スティーヴン・スピルバーグ

偏差値:65.0 レビューを書く

戦争がよくわかる映画 [100点] [参考:2]

これで初めてスピルバーグはアカデミー賞を受賞。授賞式で言った言葉はたしか「僕はこの賞を取ったことがなかった」でした。この年スピルバーグは『ジュラシック・パーク』も作ってましたので、最も脂がのってました。

リーアム・ニーソンもレイフ・ファインズもこの作品から巣立っていったような気がします。当時この映画のときは無名同然でしたね。

以前僕も高校の時に見たことがあって、そのときも凄いとは思いましたけど、大人になった今見てみると、凄いなんてもんじゃないと思いました。本当に凄い映画だったんですね。ナチスのユダヤ迫害については誰でも学校で習ったことなので、そういう意味でも見てみたい、知りたい、という興味は誰しもあるでしょうが、これ一本見ればよく理解できますね。今までこれほど戦争がよくわかる映画はなかったでしょう。DVD特典でついていたドキュメンタリーに実際に強制収容所にいれられていた人たちの証言映像がついていたのですが、それを見るとこの映画で描かれていることが史実に忠実であることがわかり、映画をより深く鑑賞することができました。

ストーリーもよく練られていて、普通にエンタテインメントとしても最後まで目が離せないし、ハイコントラストで見せる黒白の映像はもうアートの領域に達してます。

アウシュヴィッツの映画かと思えば、改めて見てみると、アウシュヴィッツは少ししか出てこないんですね。しかし雪がふきあれる中、アウシュヴィッツの煙突から死体を焼いたと思われる煙がもくもくとあがっていくその絵が何とも鮮烈にまぶたに焼き付きました。

シンドラーは天使ではないんですよね。女好きで、ずる賢いことも考えてて、すごく人間臭いです。そういう人間らしさが最も共感できました。ユダヤ人を助けていたのももともとはビジネスのため。いい事をしているわけじゃない。しかし、シンドラーに引き抜かれていくユダヤ人を見ると見ているこっちまで嬉しくなってくるんですよね。非常に悲惨な反戦映画ですけど、ユーモアもあって、前向きなストーリーになっているんです。

一点納得できないのは、なんで一部カラーなのか。蝋燭の炎が赤い意味がわかりません。そもそも映画の中の世界は、映画の中の登場人物たちにとってはすべてカラーのはずなので、一部着色したりしたら、映画の中の現実が作り物になってしまう気がしているんです。いい映画なので原点の対象にはしませんけど、これは気になるので、なんで着色にしたのか、もしスピルバーグに話できる機会があったら聞いてみたいと思います(笑)

2010/08/25 02:53

シネマガ管理人

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