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The Andromeda Strain
1971/アメリカ/130分
出演:アーサー・ヒル デヴィッド・ウェイン ジェームズ・オルソン 
監督:ロバート・ワイズ

偏差値:62.9 レビューを書く

未知の病原体の恐怖を描いた元祖的作品 [95点]

未知の病原体や新種のウィルスを扱った映画はたくさん作られているが、本作はその元祖の1つと言ってもいい作品である。

突然住民が全滅した町。その原因と解決策を探る科学者たちのやり取りを中心にストーリーは進んでいく。

屋外が映るのは住民が全滅した町の捜索とその原因と思われる墜落した人工衛星を回収する場面ぐらいで、あとは砂漠に作られた研究施設の地下の密閉された室内だけなのが余計サスペンスを盛り上げている。

科学者はそれぞれの分野の専門家であるが、その中にヒーローらしい人物がいないのもいい。

住民は全滅と書いたが、実は赤ん坊とアル中の老人という全く相反する2人が生き残っていたことが謎をさらに深めている。

この2人の共通点を見つけ出すことが原因究明の鍵となるため、科学者たちはひたすら実験と観察と推理を続けるが、観ているこちら側もその謎に集中することとなり、原作者であるマイケル・クライトンのストーリー展開の上手さとロバート・ワイズ監督の演出の上手さを感じる。

そして詳しくは書けないが、この病原体にある事態かおこることによりクライマックスの緊迫感は最高潮に達する。

その後のSF映画などでも未知の病原体を扱った作品は多いが、本作が素晴らしいのは登場人物がやたらと動き回らずに、科学者らしい研究施設内での実験や観察と彼らの会話だけでハードSF映画、そしてサスペンス映画として成り立っていることである。

最近のSF映画と比べるとCGや派手なVFXなどは全くないが、観終わった時にものすごく上質のSFサスペンス映画を観たと思える名作である。

おまけ

本作の原作である「アンドロメダ病原体」を読んだ時、前半はわけの分からない化学式や数値がたくさん出てきて何度も挫折しそうになりましたが、そこを乗り切ると後は一気に読めるほど面白い作品なので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

2009/03/10 00:35 (2009/11/07 06:18修正)

kira

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