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2010/日本/東宝
出演:仲間由紀恵 阿部寛 生瀬勝久 野際陽子 松平健 佐藤健 夏帆 藤木直人 片瀬那奈 戸田恵子 
監督:堤幸彦
http://www.yamada-ueda.com/

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なぜベストを尽くさないのか [75点]

本作はこれまでにテレビドラマが3本、テレビスペシャルが1本、そして劇場版が2本作られた人気シリーズの10周年にして待望の劇場版第3弾の最新作である。

また、この作品と前後してスビンオフのテレビドラマと本作とリンクするテレビスペシャルの第2作目が新たに作られたことからも、『トリック』がいかに人気の高いドラマであったのかがうかがえる。

テレビドラマでは自称超美人の売れっ子マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵、うん確かに美しい)と体と態度はやたらとデカイが小心者の日本科学技術大学の教授・上田次郎(阿部寛)の凸凹コンビが、奇妙な謎に包まれた難事件を次々と解決していくのだが、このドラマで一躍メジャーになった2人の現在の活躍ぶりには驚かされる。

本作のストーリーはテレビドラマを踏襲した永遠のワンパターンであるため、本作で初めて『トリック』を観る人にはその面白さの全部は伝わらないと思うが、私を含めコアなファンなら思わずニヤっとしてしまう大ネタ小ネタが満載である。

共演はテレビシリーズでお馴染みのメンバーの他に、松平健(謎の呪文「バンサンケツマ」とは)、戸田恵子(妙な踊りがいい)、藤木直人(ファンがドン引きしそうな衣装)そして片瀬那奈、佐藤健に夏帆と新旧(笑)取り混ぜた映画ならではの配役となっている。

本作を観て感動したとか泣けたとか言う人は皆無だろう。そんなことよりも『トリック』ワールドに浸り、いつものコンビとそれを取り巻く人々との下らないまでのお約束のやり取りを楽しむ、それだけで十分な作品である。

そして初めて観る人には今をときめく仲間由紀恵と阿部寛がこんな役をやっているのか、と驚いてもらえばいいのである。

テレビドラマのコンセプトは以前プロデューサーがインタビューに答えていた記事によると『巨根と貧乳』の凸凹コンビだそうで、とてもそんなものには出演してくれないだろうと思っていた2人にダメ元で頼んだら二つ返事で出演を引き受けてくれたのに驚いたとか。

たしかに『巨根と貧乳』のコンビと言われて出演するには相当の覚悟が必要だったと思うのだが、このドラマのヒットから喜劇もできることを知らしめた2人の現在の活躍ぶりを考えると何が幸いするのかわからないものである。

深夜に放送された第1、第2シリーズではそのコンセプトが色濃くでた2人の会話とやりとりが楽しめるのだが、ゴールデンタイムに移った第3シリーズでは時間帯の関係かややおとなしめになっていたのが残念であった。

しかし劇場版では深夜枠なみの2人のやりとりを観ることかできるだけでなく、出演の2人も古巣に戻ってきたかのように楽しみながら演じているのが伝わってくるのが、観ていて何ともいい気分にさせてくれる。

繰り返しになるが、本作で感動しようとか泣こうとか思ってはいけない。ただひたすら永遠のワンパターンを楽しむ、それがいいのである。

観る人によっては説明不足だとか、元ネタを知っていないと楽しめないとかの批判もあるだろうが、一度『トリック』ワールドを知ってしまうと永遠のワンパターンであるがゆえにそこから抜け出せなくなる危険な作品でもある。

2010/06/09 23:03

kira

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