アヴァロン
2001/日本
出演:マウゴジャータ・フォレムニャック ヴァディスワフ・コヴァルスキ イエジ・グデイコ ダリュシュ・ビスクプスキ バルテック・シヴィデルスキ
監督:押井守
脚本:伊藤和典
撮影:グジェゴシ・ケンジェルスキ
音楽:川井憲次
偏差値:65.0 レビューを書く
ゲームを愛する人に見てもらいたい [99点] [参考:1]
※ネタバレを含むレビューです。
押井守監督がコンピュータゲーム『ウィザードリィ』の世界をミリタリー風に映像化した作品です。アニメーション作家押井守による実写映画ですが、本人はこれもアニメ映画と称しています。そもそも実写でも編集を施せばアニメと同じことだという理屈だそうです。
この公開当時、家庭用ゲーム初のオンラインRPG『ファンタシースターオンライン』が発表され、日本ゲーム大賞を受賞。オンラインRPGというジャンルがライトユーザーに浸透しつつあったころでした。当時、これを見た僕は目ん玉が飛び出るほど驚きましたが、今日久しぶりにこれを見て、やや『マトリックス』の影響を感じましたが、すごく時代を先取りしていたことに驚きました。押井監督の映画はどうも僕の性に合わないものも多いのですが、『アヴァロン』はドンピシャ。僕がもし監督だったならこういう映画を作りたいと思いました。
オンラインRPGをやったことがある人なら、思わずニヤリとしてしまう内容です。普通の監督ならここまで忠実にゲームの世界を映像化できないでしょう。やりたくても一般受けしないという理由でスポンサーに却下されるに違いありません。こういう内容で映画を作ることが許されるのは恐らく押井守だけ。本当に恵まれた環境で映画を自由に作っているのだと思います。
主人公はソロのファイター(戦士)。その他にもシーフ(盗賊)やビショップ(司教)、メイジ(魔道士)などが出て来ます。最初のシーンで主人公が敵キャラを射殺すると、敵キャラが消滅します。消滅するところが当時の僕には衝撃的だったんですね。こんな見せ方があったかと。彼らはゲームをやっているわけです。
ビショップはレベルがなかなかあがりにくい。シーフはトラップ解除は得意だが、弱くて単独ではとても生きていけないなど、ゲームのツボをよくおさえています。中には装備品を奪おうとするたちの悪いプレイヤーキラーがいたり、回線が重くなるとラグって敵が突然ワープしたりするという、オンラインRPGにありがちなストレスまで忠実に再現していて、もう嬉しくなりました。
セットと映像のセンスもいいですね。西洋絵画を見ているようです。出演者が全員ポーランド人というのもたまりません。主人公の家のセットや街の光景、本屋のセットなどセピア調の映像は何度見ても惚れ惚れします。そしてラストの色鮮やかなるオペラの美しさ。鳥肌がたちますね。
大好きな映画ですが、内容が僕らゲーマーにしかわからものないので(しつこいようですが、そこがいい)、とても他人に薦められないのが欠点です。
2009/12/20 23:41
シネマガ管理人
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