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2009/アメリカ/20世紀フォックス映画
出演:サム・ワーシントン シガーニー・ウィーヴァー ゾーイ・サルダナ スティーヴン・ラング ミシェル・ロドリゲス ジョヴァンニ・リビシ 
監督:ジェームズ・キャメロン
http://www.avatarmovie.jp

偏差値:59.9 レビューを書く 解説 予告を見る

3D映画元年にふさわしい作品 [80点] [参考:1]

2009年は3D映画元年と言われていたが、『アバター』はまさにそれにふさわしい作品である。

その目をみはるべき映像美には終始驚かされ、さすがはジェームズ・キャメロン監督が満を持して公開した作品だけのことはある。

2D版の予告編では気になった実写とCGの人物の明らかな違いも3Dメガネを通して観ると全く気にならず、映画の舞台である惑星パンドラの世界に浸ってしまった。

その奥行きのある空間、手を伸ばせば触れそうな感覚、画面から迫ってくる野獣など、映画を観ると言うより映画の中の世界を体感するとの表現がふさわしい作品である。

ストーリーは以前よく読んでいた海外のSF小説に通じるところが多く、懐かしい気持ちで楽しむことができた。おそらくキャメロン監督も少年時代はSF小説を読み漁っていたのではないだろうか。

マーカスもといジェイク(サム・ワーシントン)が初めてアバターとリンクし、今まで動かなかった脚を自由に動かせるようになった時、周りの制止を振り切って子供のように走り回る姿は、アバターがどんなものかをそれとなく観客に理解させる上手い場面である。

また車椅子生活で衰えているジェイクの脚がCGで細く修正されているなど何気ないシーンにも抜かりがないところにキャメロン監督のこだわりを感じた。

映画は3時間弱と3D映画を初めて観るには長く、3D映像に慣れてくると途中でやや中弛みするところがあり、また敵役のマイルズ大佐が単に自分勝手で頑固なだけの軍人として描かれているためストーリーに深みがなく損をしているが、SF映画としてはよくできているのではないだろうか。

特にマイルズ大佐が地球人には有毒なパンドラの大気の中でマスクも着けず息を止めて重火器を乱射する場面は悪役ながらあっぱれな描写である。

売り物の3D映像で気になる点があるとすれば、観客が危険を感じ反射的に思わずよけてしまうような映像があまりなかったことである。

唯一身体が反応し思わず身をかわしてしまったのは撃ち込まれた催涙弾がこちらに向かって飛んできた場面だけであり、飛び交うたくさんの矢や石、襲いかかってくる野獣などを真正面からとらえていないのがもったいない気がしたが、キャメロン監督はあえてそうしたのだろうか。

また3Dメガネ越しでは映像が裸眼よりも暗く観えるのはハードの問題であるとしても、それを補うような映像の作り方もあるのではないだろうか。

とは言え、たとえ入場料が300円高くても3D版を観て惑星パンドラを体験するだけの価値が十分ある作品であることに間違いはない。

蛇足ではあるが、本作がBDやDVDで発売された時に、家庭にあるテレビ等で3D版の映像を観ることはできるのだろうか。もしできなければもったいない話である。

2010/01/07 00:34

kira

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