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カールじいさんの空飛ぶ家

2009/アメリカ/ディズニー/103分
出演:クリストファー・プラマー エド・アズナー ジョーダン・ナガイ ボブ・ピーターソン ジョン・ラッツェンバーガー エリー・ドクター ジェレミー・レアリー 
監督:ピート・ドクター
共同監督:ボブ・ピーターソン
脚本:ボブ・ピーターソン、ピート・ドクター
http://CARL-GSAN.jp

偏差値:55.9 レビューを書く 読者レビュー(4)

 世界初の長編CGアニメーション映画『トイ・ストーリー』以降、『モンスターズ・インク』、アカデミー賞長編アニメーション賞に輝く『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』『ウォーリー』など、常に驚きと感動を贈り続けてきたディズニー/ピクサー作品。その記念すべき10作目は、これまでの中で、最もイマジネーション豊かで、最も美しい映画となった。その名は、78歳のカールじいさんの愛と奇跡の冒険を描く、ディズニー/ピクサー初の3D作品『カールじいさんの空飛ぶ家』。

 78歳のカールじいさんは、亡き妻エリーとの思い出が詰まった小さな家で、ひとりっきりで暮らしていた。大切な家も生活も、全てを失いそうになったとき、彼は、人生最初で最後の旅を決意する。エリーとの約束を今こそ果たすため、家に無数の風船をつけ、思い出と一緒に家ごと大空へ飛び立った! その旅は、思いも寄らぬ冒険へ、そして予想もしなかった運命へとカールじいさんを導いてゆく‥。

 空を飛びたい。それは、子供の頃、誰もが一度は抱いたことのある夢。『カールじいさんの空飛ぶ家』は、その夢を大きくユニークに膨らませ、何万個もの色鮮やかな風船をつけて家ごと空に飛び立たせてしまった、誰も見たことのない心躍らせるファンタジー。旅の中に描き出されてゆくものは、人生そのもの。そして、愛だ。
 映画を輝かせるのは、空に飛び立つ主人公・カールじいさん。特別な才能があるわけでもなく、ヒーロ−なんかじゃない普通の老人。でも、ディズニー/ピクサー史上、最も複雑な心を持ち、最も存在感を感じさせる登場人物だ。頑固で気難し屋。そして、最愛の妻エリーとの思い出を大切に胸にいだいているロマンチスト。
 彼が、幼なじみだった妻のエリーと子供の頃に交わした約束。それは、地球上で最も美しいといわれる伝説の滝、パラダイス・フォールに彼女を連れて行くこと。だが、日常に紛れて、気がつけば沢山の年を重ねていた‥。エリーに先立たれ、ひとりぼっちで残されて人生に行き詰まった時、彼は一生に一度の決心をする。エリーと夢見た冒険の地へと旅にでよう、と。それも、思い出の詰まった家ごと空を飛んで‥。

 エリーとの愛情に満ちた過去の日々は、ドラマチックとはほど遠い、ささやかな日常の積み重ねだ。でも、だからこそ輝きを増して、観る者の心を揺さぶる。そして、愛する人が生きている間に約束を果たせなかったというカールじいさんの切ない想いが、まるで自分のことのように私達の胸を締めつける。これは、カールじいさんという長い人生を歩んで来たひとりの人間の物語。だが同時に、毎日何かを諦めながら「きっと、いつかは‥」と思って日常を生きている私達の物語でもある。
 色とりどりの風船が空に広がって陽光を受けて輝き、それに引っ張られて家が昇ってゆく時の高揚感。私達はカールじいさんの旅立ちに、エリーへの深い愛や、未来へと進む希望を見いだすことだろう。

 監督、脚本を担ったのは、『モンスターズ・インク』を監督したピート・ドクター。共同監督、共同脚本に、『ファインディング・ニモ』の脚本を手がけたボブ・ピーターソン。そして、製作総指揮には、ディズニー/ピクサー作品全てに携わってきたジョン・ラセターと、『ファインディング・ニモ』の監督を務めたアンドリュー・スタントン。ディズニー/ピクサーが誇る2つの感動作を創り上げた才能がタッグを組み、満を持して『カールじいさんの空飛ぶ家』を世界に飛び立たせた。

 そして『カールじいさんの空飛ぶ家』は、5月13日、アニメーション映画として、3D作品として、史上初めてカンヌ国際映画祭オープニング・ナイトを飾る快挙を成し遂げ、絶賛の嵐を巻き起こした。さらに、5月29日に全米で公開されるや、初登場No.1の大ヒットを記録。子供から大人まで、全ての人々の熱い支持を受け、メガ・ヒット作『ファインディング・ニモ』に迫るピクサー作品歴代2位の興行収入をたたき出している。

 人はいくつになっても、旅に出る理由がある。愛すること、生きること、そして人生を楽しむことを教えてくれる感動作『カールじいさんの空飛ぶ家』が、この冬、日本中を涙で優しく包み込む。

12月5日(土)全国ロードショー