Christein
1983/アメリカ/110分
出演:キース・ゴードン アレクサンドラ・ポール ジョン・ストックウェル ロバート・プロスキー ハリー・ディーン・スタントン クリスティーン・ベルフォード ロバーツ・ブロッサム ケリー・プレストン デヴィッド・スピルバーグ ウィリアム・オストランダー マルコム・ダネア
監督:ジョン・カーペンター
製作:リチャード・コブリッツ/ラリー・フランコ
製作総指揮:カービー・マッコレー/マーク・ターロフ
原作:スティーヴン・キング
脚本:ビル・フィリップス
撮影:ドナルド・M・モーガン
音楽:ジョン・カーペンター/アラン・ハワース
(データベース登録者:frost)
偏差値:59.0 レビューを書く
モノフェチ感動 [85点] [参考:1]
モノを偏愛する気持ちっていうのはわかります。
車とか時計とか万年筆とか。
単なる趣味って言われてしまえばそれまでながら、”コレクター”というのとはまた少し違う、
ひとつの”モノ”をひたすら愛する気持ちってのは確かにある。
『クリスティーン』は、車を溺愛する少年アーニー(キース・ゴードン)をめぐる物語ですが、主役は人間ではなくてむしろ”モノ”である車の方。4灯の特徴的な顔と後ろに伸びるテールフィンが美しい58年製プリマス・フューリー、その名を”クリスティーン”と言います。彼女は嫉妬深く残酷な女性人格を持っている。
”魔性の車クリスティーンが、惚れた男アーニーと自分にとっての邪魔者を轢き殺し撥ね殺し片付けていく、モノフェチホラー映画。
1950年頃のアメ車ってなんともいえない魅力があって、だからこそこの映画は成り立っている。
たとえ無用なほどに大きくても、バケツでガソリンを撒き散らすガス・ガズラーでも、いわんやうんざりするほど故障が多いできそこないだろうが、それを補ってあまりあるなんともいえない”色気”がある。
どんなモノでも、モノフェチが惚れるのはそういう”モノとしての色気”にあふれているからなんですな。
今の車は、やれ空力だ運動性能だエコだと、機能性や効率性ばかり求めてすっかり色気がなくなってしまいました。この先登場するであろうハイブリットだとか電気自動車だとかを見渡しても、もう車に色気を期待するのは無理なような気がします。
プリウスは確かに”良い車”だけど、果たしてプリウスはクリスティーンになりうるか。ムリ。周囲の期待に応えるためだけに作られた良い子には、とろけるような妖艶な悪女を演ずることなどできないのだ。
この映画はプリマス・”クリスティーン”・フューリーの色気を、実にうまく見せてくれます。赤白ツートンカラーの車体、「あなたのことが大好きよ。だってあなたの気持ちを知ってるから」なんて奏で出してしまうカーラジオ。悪がきどもにめちゃめちゃに叩き壊されても、愛するアーニーの「もう一度一緒にがんばろうな。。」の一言で、グキグキと音を立てながら自己修復してしまう健気さ。
そんな、モノフェチの心をわしづかみにするクリスティーンの色気がこの映画の最大の魅力。そして、その色気と同居するクリスティーンの邪悪さ、そのギャップが見所。これはまさしく、フィルム・ノワールの世界に花咲くファム・ファタールと同質のもの。『深夜の告白』におけるバーバラ・スタンウィックと同じものなのですよ。
こういう映画ってなんか好きなんだなぁ。血が騒ぐんだなぁ。
実は、私は車フェチじゃなくて万年筆フェチなんですが、もし自分のペリカンが意思を持って動き出したら。。。やっぱり、きっと今よりもっとかわいがってしまうw。
2009/05/25 23:33
frost
kiraさん、こんにちは^^
いつの間にか、コメントのやり取りができるようになってるんですね。遅くなりました。
>サイコ的な女性の怖さ
この映画のコアは、まさにそれにつきますね。人間がサイコを演じるよりもよっぽどリアルかも。
さらに、そんなサイコなくリスティーンに魅力を感じてしまう自分を発見してしまった観客も多かっただろうなぁとw。
frost (09/05/31 11:11)
「クリスティーン」は車でありながら愛する男を誰にも渡さない、サイコ的な女性の怖さを感じる作品ですね。
炎に包まれながら無人で走行したりメチャメチャに壊れても自己再生していく場面は何度観てもドキドキしますが、CGのない時代にどうやって撮影したのかなと感心してします。
kira (09/05/26 03:50)