ちょっと違う切り口の映画ニュースをお届けするウェブマガジン


バビロン A.D.

Babylon A.D.
2008/アメリカ・フランス/20世紀フォックス映画/90分
出演:ヴィン・ディーゼル ミシェル・ヨー メラニー・ティエリー ジェラール・ドパルデュー シャーロット・ランプリング 
監督:マチュー・カソヴィッツ
http://www.Babylon-AD.jp

偏差値:51.5 レビューを書く 読者レビュー(1) 予告を見る

『ワイルド・スピード』『トリプルX』『リディック』
ヴィン・ディーゼル主演、近未来SFアクション!

人類の運命をかけて、
世界で最も危険な男が立ち上がる!

 ハリウッドにおけるデジタル・テクノロジーの目覚ましい進化は、あらゆる不可能を可能にし、アクション映画の分野でも革新的な映像表現を次々と成し遂げてきた。それに伴って必要とされるのは、斬新なビジュアルに対抗しうる傑出したカリスマ性を誇るスターの存在。ずばり現代のハリウッドで、その基準を完璧に満たせるのはこの男しかいない。大ヒット作『ワイルド・スピード』『トリプルX』で、世界中に勇名を轟かせたヴィン・ディーゼルである。彼がスクリーン狭しと躍動する近未来SFアクション『バビロン A.D.』は、『キャプテン・ウルフ』以来の日本公開作であり、本格派アクションとしては『リディック』から実に5年ぶりとなる待望の最新作なのだ。
 ディーゼルが演じるのは、戦争やテロによって秩序が崩壊した近未来を生きる歴戦の傭兵といううってつけの役どころ。そんな一匹狼の主人公トーロップが、オーロラという若い女性を“運ぶ”仕事を請け負うところから波瀾万丈の物語が動き出す。中央アジアのカザフスタンを起点に、ロシア、ベーリング海峡、アラスカなどを経由してニューヨークをめざす地球横断10,000キロの旅。列車や潜水艦を乗り継ぐその壮大なる道程は、想定外の危機の連続だ。しかし“殺るか、殺られるか”の非情な世界を渡り歩いてきたトーロップは、ずば抜けたサバイバル能力をフル稼働させ、困難極まりないハードルを豪快にクリアしていく。
 屈強なストリート・ファイターとの1対1の大激闘、スノーモービルで雪原を疾走しながら繰り広げる戦闘機との高速チェイス&猛バトルなど、徹底的にリアルな臨場感を重んじたアクション・シーンの数々は、まさにディーゼルの独壇場だ。それに加えてミッションの合間に不器用な優しさをちらりと覗かせ、主人公の心の変化もデリケートに表現。男も女も惚れずにいられないディーゼルのタフで人間味豊かな魅力が遺憾なく発揮されている。


誰も見たことがない近未来の地球を舞台に、
アクションとサスペンス満載の展開で観客を魅了する
国際的なスタッフ&キャスト


 モーリス・G・ダンテックのSF冒険小説「BABYLON BABIES」を大胆に脚色し、スケール感溢れるエンターテインメント大作に仕上げたのは、個性派俳優としても名高い『クリムゾン・リバー』『ゴシカ』のフランス人監督マチュー・カソヴィッツである。荒涼とした紛争地域や大自然、スタイリッシュな大都市が混在する鮮烈な世界観を、インタラクティブ・マップやマルチメディア・モニターといった未来的なハイテク・ガジェットを随所に配して映像化。さらにはヒロイン、オーロラの特殊能力や出生の秘密を解き明かすミステリアスなストーリー展開に観る者を引き込み、人類の未来が懸かった“奇跡”のクライマックスへと導いていく。また『ニキータ』『フィフス・エレメント』の名手ティエリー・アルボガストが撮影監督を務めるほか、凄腕のスタント・コーディネーターやアクション・チームが多数参加。必要以上にCGIに頼らず、「血の臭いがして、埃や汗が感じられる」アクション映画をめざしたカソヴィッツ監督をがっちりとサポートした。
 そして本作のクオリティをいっそう高めているのが、豪華にして多彩な顔ぶれの共演陣だ。まず物語の鍵を握るオーロラに扮するのは、『海の上のピアニスト』の清らかな美少女役で忘れえぬ印象を残した若手女優メラ二ー・ティエリー。オーロラの保護者として危険な旅に同行するシスター・レベッカ役は、アジアのみならず世界最強のアクション女優たるミシェル・ヨー。さらにシャーロット・ランプリング、ジェラール・ドパルデュー、ランベール・ウィルソンといったヨーロッパの名だたる大物俳優たちが、主人公の行く手に現れる重要キャラクターに扮し、強烈な個性でドラマに厚みを与えている。現役K−1戦士のジェロム・レ・バンナが映画界に参戦し、ディーゼルとの凄まじい迫力の肉弾ファイトを披露するのも見逃せない。


[ STORY ]
人類の運命を握る男
謎の女を連れて、地球を横断する。

1 新セルビア
 度重なる戦争で荒廃し、広大な放射能汚染地帯があちこちに点在する近未来の地球。新セルビアの集合住宅に身を潜めるトーロップは、大金と引き替えにあらゆる危険な仕事をこなしてきた最強の傭兵だ。天涯孤独でどこの組織にも所属しない彼は、己が定めたルールだけに従って行動し、過酷な戦場を逞しく生き抜いてきた。
 そんなトーロップのもとに奇妙な依頼が舞い込む。浅からぬ因縁のある国際的マフィアのボス、ゴルスキーが、ある若い娘を6日間でアメリカまで運ぶという仕事を持ちかけてきたのだ。トーロップにとって50万ドルの報酬以上に魅力的なのは、ゴルスキーが用意したパスポートだった。そのパスポートを使えば、入国不可能な祖国アメリカに戻ることができる。血生臭い日常に疲れきっていたトーロップは、争いごととは無縁の新たな人生を夢見て、最後の大仕事を引き受ける。

2 モンゴル
 ゴルスキーが手配したリムジンに乗り込んだトーロップは、モンゴルの僻地にたどり着く。新興宗教団体ノーライト派の修道院の入り口で彼が対面したのは、オーロラという美少女と彼女の厳格な保護者であるシスター・レベッカ。一度も外界と触れずに院内で育てられ、そこはかとなく神秘的な雰囲気を漂わせるオーロラこそ、トーロップがアメリカへと運ぶ“荷物”なのだ。かくして3人の10,000キロに及ぶ地球横断の旅が始まった。

3 ロシア−カザフスタン国境の町トロイツク
 リムジンを乗り捨て、足早にトロイツクの駅に向かうトーロップたち。ところが無数の露天商や市民でごった返す市場を通りかかったオーロラが突然脅えだし、パニックに陥ってしまう。「そっちに行っては駄目!」。オーロラがそう絶叫した次の瞬間、市場を揺るがす大爆発が起こった。からくも難を逃れたトーロップは、驚くべき予知能力を発揮したオーロラの素性に不審を抱く。

4 ロシア・ウラジオストク〜ベーリング海峡
 列車でウラジオストクに着いたトーロップは、難民キャンプでオーロラの身を狙う謎の一味に急襲される。大乱闘の末にオーロラを奪還した彼は、ベーリング海峡を渡るため、旧知の密輸業者フィンの手引きで潜水艦に乗り込む。その際、オーロラは大勢の難民が犠牲になったことに心を痛め、再びパニック状態になって暴れ出すのだった。
 重い口を開いたレベッカが、オーロラに関する秘密をトーロップに打ち明ける。2歳の時に19ヵ国もの言語をしゃべったこと。あらゆる初めての物事を瞬時に理解できる特殊能力を備えていること。そして3ヵ月前、怪しげな医師に薬を与えられてから情緒が不安定になったこと。一方、フィンは2年前にウズベキスタンで起こったウイルス爆弾事件を引き合いに出し、オーロラはそのウイルスを保菌する“殺人兵器”なのではないかと推測する。

5 アラスカ〜カナダ・キティマット
 アラスカのミリタリー・ゾーンに上陸した4人は、スノーモービルでカナダへの国境をめざす。その途中、無人戦闘機の襲撃を受けたトーロップは大怪我を負うが、オーロラのとっさの応急処置で意識を取り戻し、裏切り行為を働いたフィンを射殺。国境越えに成功し、雪原に張ったテントで一夜を過ごしたトーロップ、オーロラ、レベッカは初めて心を通わせる。相次ぐ苦難を突破してきた3人の間には、家族のような絆が芽生え始めていた。

6 ニューヨーク
 ゴルスキーから手渡されたパスポートを首に注射したトーロップはオーロラ、レベッカと共に旅客機でカナダを発ち、ついに目的地ニューヨークに到達する。しかしノーライト派の狂信的な教主が、地球の未来を揺るがす邪悪な陰謀の実現のためにオーロラを利用しようとしている事実が判明。そしてオーロラ自身の肉体に衝撃的な異変が起こっていることが発覚する。

 さらなる出生の秘密を隠し持つオーロラをノーライト派に引き渡すか、それとも彼女を守るべきか。一度たりとも仕事に私情を挟んだことのないトーロップは、初めて死を覚悟して壮絶な闘いに身を投じていくのだった……。

2009年5月9日(土)お台場シネマメディアージュ他全国ロードショー